慰霊の日に改めて平和を誓う

慰霊の日、 県主催の全戦没者慰霊祭に、今年も安倍総理が(100人もの東京警視庁機動隊に守られて)出席した。
どの面下げて沖縄に来れるのかと毎回思うのだが、それ以上に、総理の「あいさつ」の白々しさは、
「県民の心に寄り添い」などと、よくも心にもないことがあそこまで言えるものだと、怒りを通り越して感心する。

人間としての赤い血が通っていない言葉だから、「白々しい」と言うんだね。言葉の意味がよ~く分かったよ。ソーリのおかげで。

DVC00061.JPG           <市民グループは魂魄の塔にお参りして戦没者に手を合わせる>

DVC00007.JPG          <沖縄戦の全戦没者24万人余の氏名が刻まれた平和の礎(いしじ)

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平和の礎に刻まれた家族の名前を、愛しそうに手でなぞりながら、涙する人々。71年も経つのに戦争で亡くなった人たちへの哀惜の思いは少しもうすまらない。
いまだ戦争が終わっていないような基地の島・沖縄の現状が、これでもか!これでもかと県民の心の傷をえぐり返し、深くするばかり。

翁長知事の平和宣言で、やっと心の平衡を保つ。

平和宣言(全文)

太平洋戦争最後の地上戦の行われた沖縄に、71年目の夏が巡ってまいりました。

 沖縄を襲った史上まれにみる熾烈(しれつ)な戦火は、島々の穏やかで緑豊かな風景を一変させ、貴重な文化遺産のほとんどを破壊し、二十数万人余りの尊い命を奪い去りました。

 私たち県民が身をもって体験した想像を絶する戦争の不条理と残酷さは、時を経た今でも忘れられるものではありません。

 この悲惨な戦争の体験こそが、平和を希求する沖縄の心の原点であります。

 戦後、私たちは、この沖縄の心をよりどころに、県民が安心して生活できる経済基盤を作り、復興と発展の道を懸命に歩んでまいりました。

 しかしながら、戦後71年が経過しても、依然として広大な米軍基地が横たわり、国土面積の0・6%にすぎない本県に、米軍専用施設の約74%が集中しています。

 広大な米軍基地があるがゆえに、長年にわたり事件・事故が繰り返されてまいりました。今回の非人間的で凶悪な事件に対し、県民は大きな衝撃を受け、不安と強い憤りを感じています。

 沖縄の米軍基地問題は、我が国の安全保障の問題であり、日米安全保障体制の負担は国民全体で負うべきであります。

 日米安全保障体制と日米地位協定の狭間(はざま)で生活せざるを得ない沖縄県民に、日本国憲法が国民に保障する自由、平等、人権、そして民主主義が等しく保障されているのでしょうか。

 真の意味での平和の礎(いしずえ)を築くためにも、日米両政府に対し、日米地位協定の抜本的な見直しとともに、海兵隊の削減を含む米軍基地の整理縮小など、過重な基地負担の軽減を先送りすることなく、直ちに実現するよう強く求めます。

 特に、普天間飛行場辺野古移設については、県民の理解は得られず、これを唯一の解決策とする考えは、到底許容できるものではありません。

 一方、世界の国々では、貧困、飢餓、差別、抑圧など人命と基本的人権を脅かす、多くの深刻な課題が存在しています。

 このような課題を解決し、恒久平和を実現するためには、世界の国々、そして、そこに暮らす私たち一人一人が一層協調し、平和の創造と維持に取り組んでいくことが重要であります。

 私たちは、万国津梁(しんりょう)の鐘に刻まれているように、かつて、アジアや日本との交易で活躍した先人たちの精神を受け継ぎ、アジア・太平洋地域と日本の架け橋となり、人的、文化的、経済的交流を積極的に行うよう、今後とも一層努めてまいります。

 戦争の経験が息づく沖縄に暮らす私たちは、過去をしっかりと次の世代に継承し、平和の実現に向けて貢献を果たす上で大きな役割を担っているのです。

 本日、慰霊の日に当たり、犠牲になられた全ての方々に心から哀悼の誠を捧げるとともに、平和を希求してやまない沖縄の心を礎として、未来を担う子や孫のために、誇りある豊かさを作り上げ、恒久平和に取り組んでいく決意をここに宣言します。

 平成28年6月23日

  沖縄県知事 翁長雄志(おながたけし)

 

 

2016年6月24日リンクURL

沖縄の誇りと尊厳をかけて~参議院選挙公示

参議院選挙がスタートした。

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一人区の沖縄選挙区は辺野古新基地に反対するオール沖縄が推すイハ洋一氏と、辺野古推進派の現職で沖縄担当大臣・島尻愛子氏の事実上の一騎打ちとなっている。

今朝の出発式で、イハ候補の選対最高顧問である翁長知事は「沖縄の誇りと尊厳をかけた選挙。今回の選挙の意義はいろいろあるが、一昨年の名護市長選挙をはじめ、名護市議会選挙、知事選挙、衆議院選挙、そして今回の県議会選挙で勝ち続けて沖縄の民意を示してきたように、まずは勝つことが最大の意義」と、集まった聴衆に力強く訴えた。

DVC00203.JPG                     <翁長知事の激励を受けるイハ候補>

翁長知事の激励を受けて、イハ候補は、「基地のない平和な沖縄への歩みを、この選挙からスタートさせる」と決意を述べた。

DVC00189.JPG                       <イハ洋一候補>

県議会議員、宜野湾市長として経験を積み、実績も残してきた伊波氏。安全保障や基地問題の専門家でもある。この人を絶対に当選させて、国会で安倍総理と論戦を戦わせる姿を、ぜひ見たいものだ。

今回の参議院選挙は、沖縄のみならず、安保法、TPP、原発、憲法改悪と、沖縄だけではなく日本という国の明日がかかっているといっても過言ではない。

滅びの道に歯止めがかけられるのか、それともこのまま日本消滅に突き進むのか、究極の選択が迫られている。日本人よ!

 

2016年6月22日リンクURL

県民大会へ寄せる人々の深い思い

DVC00036.JPGP1030637       <35度を越す灼熱の太陽の元で行われた県民大会>

県民大会は古謝美佐子さんが歌う「童神(わらびがみ」で始まりました。子を想う親心を詠うこの歌が、被害者への思いと重なって参加者の胸に浸みわたり、続いて行われた一分間の黙祷のなか、こらえきれず涙を流す人も少なくありませんでした。

P1030636                               <童神を歌う古謝美佐子さん>

そして、最愛の娘を奪われた遺族のメッセージが読み上げられ、深い悲しみと怒りが会場を包みました。そこには大会決議の「海兵隊の撤退」をさらに超えて、「すべての基地の撤退」が織り込まれていました。

<遺族からのメッセージ全文>

ご来場の皆さまへ。米軍人・軍属による事件事故が多い中、私の娘も被害者の一人となりました。なぜ娘なのか。なぜ殺されなければならなかったのか。

今まで被害に遭った遺族の思いも同じだと思います。被害者の無念は、計り知れない悲しみ、苦しみ、怒りとなっていくのです。

それでも遺族は、安らかに成仏してくれることだけを願っているのです。次の被害者を出さないためにも全基地撤去。辺野古新基地建設に反対。県民が一つになれば可能だと思っています。県民、名護市民として強く願っています。ご来場の皆さまには、心より感謝申し上げます。

平成28年6月19日、娘の父より

DVC00126.JPGたくさんの花束が供えられた遺体遺棄現場。被害者の父親は、ここで娘の魂に呼び掛けた。「お父さんだよ。一緒に帰ろうね」と。沖縄では亡くなった場所で魂を拾う「ヌジファ」という儀式を行う慣習がある。

DVC00037.JPG                      <あいさつを述べる翁長知事>

県議会超党派の県民大会とはなりませんでしたが「出席することが県民の意に沿うこと」として参加を決断した翁長知事。県民を代表する為政者として、被害者の命と尊厳を守れなかったことを詫びるとともに、改めて「辺野古新基地建設を許さない」決意と、「地位協定の抜本的改定」などに取り組むことを誓いました。

そして挨拶の締めくくりに、沖縄の言葉で「皆さん!負けてはなりません。我がうちなーんちゅの子や孫を守るために頑張りましょうね」と力強く呼びかけ、会場の6万5千人が万雷の拍手と指笛で応えました。

大会の主催者・オール沖縄会議の4人の共同代表もそれぞれに挨拶に立ち、その一人・被害者と同世代で大学生の玉城愛さんは「安倍晋三さん、本土に住むみなさん、第二の加害者はあなたたちです!沖縄とちゃんと向き合って下い」と、沖縄の民意など一顧だにしない政権と、無関心な国民に対して、痛烈な批判を投げかけました。

DVC00015.JPG                「私も米兵によるレイプ被害者です」 と訴える女性も…。

DVC00026.JPG翁長知事をはじめ共同代表など、壇上に上がった人たちの胸には、ハワイ沖縄県人会の人たちから送られた手づくりの「追悼のレイ(木の実でできている)」がかけられました。故郷を遠く離れた沖縄の人たちも怒りと悲しみを共有しています。

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DVC00031.JPGメッセージボードに込められた、人口わずか1%に過ぎない沖縄県民の思いは、99%の日本国民に届くのでしょうか?それともこれからも無視され続けるのでしょうか?

 

2016年6月21日リンクURL