もろさわようこさんの追悼集刊行

 2024年2月に亡くなられた女性史家で思想家の故もろさわようこさんの追悼集が、このほど財団法人志縁の苑から刊行された。

 追悼集には葬儀に代わる「白寿の宴」をはじめ、長野、高知、沖縄在の活動拠点である各「家」でそれぞれ行われた「しのぶ会」の模様を収録した他、「志縁」で結ばれた30名の方々が、しのぶ言葉を寄せている。B5版 288ページ、厚さ1・5センチの重厚な仕上がりになっている。

 本書は、「志縁の苑」の記録誌(機関誌)の特集号として発行されるため、販売は行われない。

 志縁の苑の運営は、40年前の発足以来もろさわようこさんが理想とした無組織、無規則、無会費を貫き、関わる人それぞれが自らの責任でかかわりたいように関わり、その心と懐具合に応じ寄せられる「志金」によって営まれている。

  ◇ 追悼集目次

 ◇ 追悼集ご希望の方は、minamoto@ocs.okinawaにお問い合わせください。

 

 
 

2026年7月24日リンクURL

”戦争”は見ようとしなければ気づくことができない。蒼空の月のようにーー。

 山形県に住む友人から本をいただいた。「蒼空の月」と題するその本は、彼女の出身地である宮城県の人々の「戦争体験」の証言集だった。

 ”蒼空の月”とは昼間の青い空に浮かぶ月。目を凝らさなければ、そこにあることに気が付かない。戦争に向かって突っ走るこの国の姿を、国民は見えているのだろうか?という憂いから、街中の情報誌が企画した連載が、敗戦80年の今年一冊の本になったもの。

  敗戦のとき2歳だった友人も、祖父母、両親の戦時の生活体験、理不尽な国策に苦しめられる沖縄の姿を知った少女期以来、沖縄とかかわり続けてきた経験を語っている。      

 新基地建設に反対する辺野古へも、遠く山形から何度も足を運んだ。そのときに聞いた辺野古のオジー・オバーの言葉を記している。「闘った事実だけが子孫に残す最高の財産だ。子孫はそこから先を闘える」

 まもなく30年目となる辺野古の闘いの現場も、高齢化で一人減り二人減りして「いつまで闘えるのだろうか」と不安になることもある。でも「そうだよ!私たちは闘えるところまで頑張ればいいんだ。次に連なる人たちは、そこから先を闘うことができる」と、辺野古へ通う元気をもらった。歌人でもある彼女詠う。

 「高度成長謳える日本人  基地沖縄に負う罪なきや

 山形は雪、友人宅は庭に30㌢も積もっているという。沖縄に住むお孫さんへ送るためた作った雪だるまの写真を、私にも送ってくれました。目はなすび、口は人参、ボタンはジャガイモですって! ばあば、じいじの愛情あふれる雪だるまは、絵になるなぁ。

2025年12月30日リンクURL

泡盛・古酒造りは平和産業 ~ お勧め本「 泡盛天使の酒造所巡り」下地恵子著

 友人が本を出した。私も少なからず関わったので、紹介したい。

 本書読みながら、各酒蔵所の泡盛造りに対する深い想いに、何度も胸が熱くなった。そこには家業を守るという野心に止まらない、泡盛そのものに対する価値観、つまり泡盛愛、そして家族愛、郷土愛が滲んでいて、感応したからだ。

 それだけではない。古く琉球と呼ばれた時代から、沖縄戦で消滅した泡盛の奇跡的な復活、それぞれの酒屋にまつわるさまざまな出来事の背景に、沖縄の歴史物語りが見え隠れする。

 この本の魅力の一つは、何と言っても著者の泡盛天使こと下地恵子さんの軽妙な文章力にある。まるでしゃべっている彼女の声が聞こえてくるようだ。それもそのはず、本書はJTA機内誌「美ら島物語」の連載をまとめたものだが、その元となったのが、かつて著者がインタビュアーを務めたラジオ番組「泡盛天使が行く」(ラジオ沖縄)がきっかけなのだ。ラジオでは、酒蔵所だけでなく居酒屋、県内外の泡盛愛好家なども尋ねた。

 不思議だったのは自宅で古酒を育てている愛好家の多くが、「酒は飲めない人」だったことだ。ではなぜ古酒を?と聞くと「自分は飲めないが、古酒を飲んで喜ぶ友人たちと過ごすのが楽しい」とか。本書によれば、ある酒造所の営業車には「人の想いと心をつなぐ」と書かれているそうな。同じ原料、同じ製法なのに、酒造所によって味が違うのは、造り手の想いが反映されるからだという。加えて飲む人の想いも…。

 欲を言えば、生活文化の中の泡盛についても、もう少し酒屋ならではのウンチクを聞き出してほしかったなと思う。酒は「百薬の長」と言われるが、泡盛がまさにそうだ。

 私が子どもの頃、風邪をひいてせき込んでいると、おばぁが胸にヒル(ニンニク)酒を刷り込んでくれた。怪我には泡盛で消毒をしてから包帯を巻いた。虫歯がうずくと泡盛を口に含んで痛みをこらえた。沖縄そばとコーレーグース(唐辛子の泡盛漬け)、豚肉を使う琉球料理に泡盛は欠かせない。ニンニクの泡盛黒糖漬けの甕が、味噌甕とともに押し入れの奥に並んでいたことを思い出す。飲むだけでなく泡盛は私たちの日々の暮しの中で、今も生きている。そこに世界遺産たる所以もあろう。

 泡盛は仕次をすることで100年以上も熟成を続ける。しかしそれは平和なればこそだ。沖縄戦がそれを証明した。古酒泡盛造りは平和産業でもあることを、本書は教えてくれる。

 どうぞ、泡盛好きだけではなく、飲めないあなたも、本書片手に酒造所めぐりをして下さい。そこに「琉球}「沖縄」があります。

 

2025年11月23日リンクURL