今年2月29日に逝去された女性史家・思想家のもろさわようこさん(享年99歳)を偲ぶ会が、10月4日・5日に長野県佐久市望月の「志縁の苑 はじめの家」で行われ、私も出席してまいりました。
偲ぶ会は、まず樹木葬で散骨が行われたはじめの家の花壇の前で祈りを捧げました。沙羅の木を囲むようにつくられた花壇には、もろさわさんの遺影を囲むように花々が咲き、清々しい風が吹いていました。
「より痛み深く生きる人々の側から、ものごとを見るとして、1972年の初来沖以来、一年の半分以上を沖縄の人々と共に過ごし、発信して来たもろさわさん。そんなもろさわさんにふさわしく、偲ぶ会は八重山古典民謡の歌・三線が流れるなかで始まりました。
偲ぶ会第二部は、全国から60数名が集い、午前10時から昼食を挟んで午後2時まで、参加者全員がもろさわさんとの関り・「志縁」を語り合う「生身のコミュニケーション」が行われました。
「自然と出会い、歴史と出会い、自分自身と出会い、そして人々と出会う場」として、もろさわようこさんが呼びかけ、全国の人びとから寄せられた志金によって一九八二年に長野県に開設した「はじめの家」。
無組織、無規則、無会費、関わりたい人がその関わり方・参加の仕方を、自分で考え、自分の責任でものごとを行い営むことを原則として営まれ、そこで繋がりあった人たちが、それぞれの場で、それそれの志を貫く活動を展開し続けていることが、語られました。
昼食には、もろさわさんが愛した信州の郷土料理の数々が、地元長野の方々の手造りで、食べきれないほど並べられ、心もお腹もいっぱいに。
はじめの家には、もろさわさんの思想、思いが詰まった品々や図書が、たくさん並べられています。
家は、小高い丘の上にあって、室内から信州の山々が遠望できます。里の田んぼはちょうど稲刈りの季節。黄金色に実った稲穂を見ていると、なんだかこころ暖かく、ほっとするような気持ちになりました。
偲ぶ会の前日は、宿泊した望月温泉の望月荘で「前夜祭」が行われ、参加者同士がもろさわさんとの思い出を語り合いながら、交流を深めました。私も琉球古典舞踊を一曲舞わせていただきました。
<はじめの家の前で、在りし日のもろさわようこさん>
偲ぶ会は、今回の長野・はじめの家の他、去る4月28日高知のよみがえりの家で行われ、一周忌にあたる来年三月に沖縄の「うちなぁの家」でも行われる予定です。