いまどき こんな情緒あふれるお別れ風景、そうそうお目にかかれるものではありません。
三月末、渡嘉敷島の港での風景です。
3月いっぱいで転任のため島を離れる小中学校の先生方を
教え子や父母たちが総出で見送るのは、遠い昔からこの島の風物詩となっています。
島を去る先生と名残を惜しむ子供たち。抱っこされ甘えているのは1年生でしょうか。
船が岸壁を離れ始めます。
岸を離れるフェリーを追いかけるように、ケラマ太鼓の音が響きます。
切れたテープを手繰り寄せ、愛おしそうに胸いっぱいに抱えた先生。このテープの先から教え子一人ひとりと思いを通わせているのでしょう。
この日は、渡嘉敷小中学校、阿波連小学校、両校の校長先生はじめ6人の先生方が島を離れました。
特に阿波連小学校の校長先生は
若いころに一度阿波連小学校に赴任、島の自然と暮らし、子どもたちとの触れ合いに魅了され、その後の教員生活の支えになったそうです。定年間近になって自ら希望して、校長として阿波連小学校へ赴任、教員生活の最後を渡嘉敷島で過ごしました。
都会の学校と違い、島の小さな学校では放課後も濃密な子どもたちとの触れ合いがあります。教師なりたての先生に釣りを教えたのも島の子どもたちだったそうです。
きっとこの交流は一生続くことでしょうね。
船が見えなくなるまで、見送りの人々は手を振り続けていました。
現在60代の私が小学生の頃から変わらぬ風景です。
その私も20数年ぶりにこの光景に出会い、子どものころにタイムスリップした気分になりました。
五色の紙テープってまだあったんですね。