辺野古新基地建設をめぐる米国での動き「報告」② ~ Hope Spot 希望の海に認定

②<Hope Spot / 希望の海>

 去った年10月27日、米国環境NGOのミッションブルーが、辺野古・大浦湾一帯をホープスポット(Hope Spot・希望の海)に認定した。世界各地で100ヵ所以上が認定されているが、日本では初となる。対象範囲は辺野古・大浦湾を中心にした名護市天仁屋から宜野座村松田までの44,5平方キロメートルの海域である。

<↓辺野古の海のサンゴと熱帯魚>

 今回の認定は辺野古大浦湾一帯の生物多様性や地形の豊かさ、その豊かな環境で育まれてきた文化や暮らし、そしてその豊かな環境を基地建設から守ろうとする多くの人々の取り組みが世界的に認められたことを意味する。

 ちなみに、米国最大/世界2位で日本の国土面積の4倍もあるハワイ州のパパハナウモクケアケア海洋保護区には、7000種の海洋生物が生息しているが、わずか約20平方キロの㍍の辺野古・大浦湾には、260種の絶滅危惧種を含む5300種の海洋生物が生息している。(辺野古・大浦湾が、いかに世界的にも稀有な生物多様性の豊かな海かということがわかる)

 さらにホープスポットのネットワークを生かしたエコツーリズムの可能性も注目される。例えば、ホープスポットである米国カルフォルニア集のモントレー湾やオーストラリアのモートン湾は、エコツーリズムにより地域の環境保護と経済活動の両立を図り成功している地域である。辺野古・大浦湾一帯のホープスポットにおいても、それらの地域から学び、地域発展の取り組みが行なえる。

 ホープスポットの動きに関して私たちがまずできることは、家族、友人、知人に声をかけて辺野古・大浦湾一帯のホープスポットに実際に足を運んでみること、楽しんでもらうことである。そしてホープスポットの署名に協力することである。(つづく)

 <琉球新報 2019年10月>

2020年2月4日リンクURL

辺野古新基地建設をめぐる米国での動き ① ~ 2020年度米国防権限法

 2月1日(土)の辺野古大行動日の集会の中で、環境専門家の吉川秀樹さんが行った「辺野古新基地建設をめぐる米国での動き(報告)」は、とても興味深い内容だった。
約束通り、吉川さんの話を文章化した資料(当日集会で配布された)の全文を、三回に分けて紹介する。

「辺野古新基地建設をめぐる米国での動き(報告)」 

<↓吉川秀樹氏:2月1日 辺野古の集会にて>

 市民社会による粘り強く続く現場での座り込みや抗議行動、軟弱地盤や環境破壊の問題露見、県や国会/県議会議員の取り組み、そして辺野古反対の県内外の声は、辺野古新基地反対が計画通りには進んでいないことを日本政府に認めさせた。仮に県知事が計画変更を認めたとしても、完成にはその時点から12年以上が必要で、2030年代と言われている。日本政府は「辺野古が唯一」と米国政府に「確認」を続けるが、辺野古新基地建設が、より「問題化」していることは明らかだ。

 この事実を顕著に表しているのが(皮肉)にも、元在沖縄米軍海兵隊外交政策部次長のロバート・エルドリッジによるThe Japan Time (2020年1月17 日)への寄稿文だ。エルドリッジ氏は、辺野古に固執する12の理由を、皮肉を交えてあげながら「私が海兵隊に関わってきた20年間で辺野古がgood ideaとする士官/将校に出会ったことはない。「この問題が日米2国間の関係と沖縄と本土の関係を蝕んでいき(日本政府の報告書が提出された後、米側の担当者は日本政府の無能さを非難した)、最も損失をこうむるのは日米両国の国民/納税者だ。」と述べている。

 辺野古基地建設の強行が、国防総省/米国にとっても(よって日本政府にとっても)問題となることをまず私たちが認識し、国内外に伝えていくことが大切だ。以下、米国での最近の動きを3つ紹介し、それらの動きと私たちがどのように連動できるかを提案する。

<2020年度米国防権限法

 去る12月20日に成立した「2020年度国防権限法」には、辺野古新基地建設に関する1260K条項と1255条項が盛り込まれた。

 1260K条項は、成立後「180日以内に、国防総省長官は、連邦議会の国防衛(軍事)委員会に対して、沖縄、グアム、ハワイ、オーストラリア、そしてその他の地域における米国海兵隊員の分散配置計画の実施状況について報告書を提出すること」と義務づけている。特に分散配置の実施を制約・制限する「政治、環境、その他の要因」を示すことが求められていることは注目される。

 1255条項では「普天間代替施設に関連する日本政府の貢献」についての報告を、米会計検査院の院長が連邦議会の関連委員会に行うことが求められている。同法成立の過程において、辺野古新基地建設関連の条項は一度削除されたが、日米の市民社会のメンバーや、県知事や国会/県議会議員の働きかけにより再び盛り込まれたことは重要である。

 勿論、日本政府は「基地建設は順調に進んでいる」「政治的にも環境的にも問題はない」「辺野古新基地建設で日本政府は貢献している」という主張と情報を米国政府にしていくであろう。しかしこれは同時に、私たちから米国政府、連邦議会に対して「民意は基地建設NOだ」「基地建設は不可能」「建設強行は米国の立場を悪くする」という情報と主張を提供する機会にもなり得ることを意味している。また、普天間基地のPFAS、騒音、安全性の問題を訴え、普天間の早期返還を訴える機会であることも意味している。

 市民社会が自ら動くことは勿論、県や国会/県議会議員にもこの機会を生かしてもらうことが必要だ。(つづく)

2020年2月4日リンクURL

「辺野古がGood ideaとする米軍士官/将校はいない」~今日(2月1日)の辺野古

 毎月第一土曜日の集中大行動日の今日、辺野古ゲート前におよそ800人が集った。

 今年初めての集中行動ともなる今日の集会は、いつもとは一味違った。いつもは国会議員をはじめとする県議、政党代表など政治家の挨拶が中心で、一部を除いてお定まりの内容になりがちだった。

 今日は、主催者のオール沖縄共同代表二人があいさつした後は、「学習会のようになるかも知れないが」と司会者の紹介で登壇した環境問題の専門家吉川秀樹氏が、「辺野古新基地建設をめぐる米国での動き」と題して極めて興味深い報告を行った。

 「日本政府は、(県民の粘り強い抗議行動によって)軟弱地盤の存在と、その改良のために新基地建設は、(沖縄県の承認後)12年以上の時間と1兆円近い工事費がかかることを認めざるを得なくなった。が、それでもなお“辺野古唯一”と米国とも確認しあったと言い続けている。 しかし、いま明らかに米国では“辺野古新基地が”問題化してきている」という。

 しかも、この事実を顕在化させたのは、(皮肉にも)、在沖米軍海兵隊外交政策部次長として在任中に、多くの問題発言で県民を怒らせた人物/ロバート・エルドリッチ氏が、今年1月、ジャパンタイムス紙へ投稿した寄稿文だという。「辺野古に固執する12の理由」と題するその寄稿文で彼は「私が20年間海兵隊にかかわってきた中で、辺野古がgood ideaとする米軍の士官/将校に出会ったことはない」「この問題が日米2国間の関係と、沖縄と本土の関係を蝕んでいる」「(日本政府の報告書が提出された後)、米側の担当者は日本政府の無能さを批判した」「最も損失を被るのは日米両国の国民(納税者)である」と述べているという。

 吉川氏は、新基地建設の強硬が、米国にとっても日本にとっても問題となることを内外の多くの人に伝えることが大切になる、と前置きし、辺野古新基地建設を巡って、いま米国内で起こっている3つの出来事①2020年度米国防権限法、②Hope Spot/ 希望の海認定、③ジュゴン訴訟とIUCNによるジュゴンの評価について報告、「これらの動きと沖縄の私たちがどのように連携できるかを提案したい」と熱く語った。

 希望のある話に、集会に参加したみんなが身を乗り出して聞いた。(長くなるので、①②③ついては別途、報告書の全文を掲載する)

 続いて、参加した国会議員を代表して伊波洋一参議院議員があいさつ。「政府は軟弱地盤認めたが、工事費を1兆円未満に抑え、工期を10年以内に収めるために、地盤改良のための砂杭の本数を2万8千本減らし、コンクリートを軽量資材(発砲スチロールや紙など)に置き換えるなど無理な工法に変えている。これでは普通の滑走路はできない。米軍の基準にも適合しない。普通の飛行場20個分の工事費をかけて、欠陥飛行場しかできない。いま野党が力を合わせて辺野古の問題に取り組んでいる。この今国会で崩壊寸前の安倍政権を、さらに追い込んでいく」と国会報告、吉川氏の話をさらに補強する内容で集会を盛り上げた。

 

 

 集会ではさらに、いま大きな問題となっている米軍基地からの公害で、県民の飲み水が汚染されている有機フッ素化合物(PFAS)問題で、来る3月6日に県民大会を開催することが決まり、実行委員会のメンバーが参加を呼び掛けた。それこそ命に直結する問題である。

 

 

 今日の集会には、自衛隊問題で宮古島を拠点に抗議行動を行っている山城博治さんも参加。「沖縄の未来(道)は沖縄が決める。安倍に口出しはさせない」と、力強い開会宣言をした。

 

 

 

 

<追記>

 集中行動日の集会は、11時に始まり正午過ぎには終わったが、朝  平和市民連絡会のチャーターバスで参加したメンバーは、安和桟橋で搬出作業が行われ、本部島ぐるみの皆さんが、少人数で頑張っていると聞き、昼食後帰る予定を急遽変更して、安和に向かうことになった。

 安和と塩川からの船による搬出作業は通常月~金の平日にしか行われていないが、先週は海が荒れ船が出せなかったため、4日間も搬出作業がストップし、作業の遅れに焦った防衛局は、土曜日もダンプを動員したようだ。

 土曜日は予定外なので、本部島ぐるみの方たちを除いては、急遽駆け付けた私たち平和市民連絡会のメンバだけだった。(休みもなく頑張っている本部島ぐるみの皆さんには頭が下がる)

 12月までは、北から右折で入ってくるダンプだけだったが、私たちがゲート前を歩くだけで、信号が変わるごとに一台しか港に入れないので、今年になって、南側から左折でも入ってくるようになった。入る台数は増えたが、ダンプ同士が鉢合わせでにらみ合う場面もしばしば見られた。

  

 ダンプが入ってくるたびに「車が通ります!車が通ります!」とハンドマイクでがなり立てる防衛局職員。

 2:30過ぎ、辺野古にもいらしていた東京弁護士会のみなさん数人が視察に来られた。その直後にダンプがストップし、機動隊も引き上げていった。

 弁護士の皆さんに見られてはまずい何かがあったのだろうか?おかげで私たちも早く引き上げことができた。 

 

2020年2月2日リンクURL