「徹底抗戦の行き着く先…」沖縄戦に重なる ウクライナ戦争 ~ ノーモア沖縄戦・命どぅ宝の会連続講演会

 19日(日)は、ノーモア沖縄戦・命どぅ宝の会主催の連続講演会に参加した。「慰霊の日」を前に、第三次世界大戦前夜ともいわれる世界情勢の中で「沖縄戦の教訓から、平和を学ぼう」と開催された。

 基調講演と講話で5人の講師が登壇した。

 基調講演の中で石原昌家同会共同代表は、「沖縄戦の日本軍は何だったのか?」と題し、「ウクライナのゼレンスキー大統領が、国家を守れ!領土を守れ!と国民に対し徹底抗戦を叫び、18歳から60歳までの男子の避難を禁じている姿は、沖縄戦でひめゆりの女子学徒たちに、”あなたたちが学校に戻ってこなかったら、あなたたちの出身地からは、今後入学させない”と脅され、やむなく戦場動員されていった姿に重なる」。日本軍は、「軍官民共生共死、最後の一人となるまで闘え!」と、軍人だけでなく、住民にも捕虜になるなと強いたことで、住民の犠牲を膨大にした」と、沖縄戦の教訓からウクライナ戦争を紐解き、「徹底抗戦の行きつく先は…」と論じた。

 女性史家の宮城晴美さんは「いまウクライナで凄まじい性暴力が起こっている。長い戦争の歴史の中で、女性への性暴力のない戦争はなかった。なぜなら、性暴力が戦闘行為の一つであるから。その根底には性差別があり、慰安婦問題にも通ずる。特に日本では、天皇制を頂点とする家父長制度が、戦争下での女性の被害を大きくした」その典型的な例として「男性のいない集団では”集団自決”は起こらなかった」と、具体的な例で話した。

 

 学童疎開船対馬丸生還者・平良啓子さんは、小学校4年生のときに対馬丸で遭難、かろうじていかだに這い上がった10人の中から5人が次々と波にさらわれていく様子を語った。

 生き残った者の役割として、平和のために何ができるか考えたとき、戦争につながるものを無くする政治家を選ぶこと、と選挙で投じる一票を大事にと訴えた。

 

 作家の大城貞俊さんは「抗う言葉を求めて」と題して、沖縄文学には、抑圧の歴史に抗う言葉を探し、いまも探し続けているという背景がある。ある人の作品の中に「闘っている間は、負けたことにはならない」という言葉がある。抗う人々の心の中にある”抗う言葉”を拡げて定着させる力が文学にはある。それが表現者としての役割であると思う。

 

この日も、糸満の新崎海岸で遺骨と手榴弾を拾って来たと、戦没者遺骨収集ボランティアの具志堅隆松さん。「国は、戦没者の遺骨を海に捨てるという計画を立てた。それが南部から土砂を運んで辺野古の基地をつくるという行為。

 お金になるなら戦争被害者の遺骨を売ってしまうという行為を許したら、私たちは将来の子どもたちにどう言い訳するのか?人間としての節度を守らなければならない。

 台湾有事で、住民をどう避難させるか議論になっているが、出ていくべきは住民ではなく、軍事基地の方である」と。

 他ではあまり聞けない話に、多くの人が熱心に耳を傾けた。この日の講演会の様子は、6月23日からネットで公開される予定。

 ノーモア沖縄戦  命どぅ宝の会の連続講演会 第2週「南西有事を勃発させないために」は、                          6月26日(日)PM1:30~3:30                            教育福祉会館(那覇市古島)  ※先着100名限定入場

 

 

 

2022年6月20日リンクURL