「沖縄・米兵による女性への性犯罪」改訂版発刊 犯罪件数2・5倍 1000 件に増 ~ 基地・軍隊を許さない行動する女たちの会発行

 沖縄の女性たちが記録し続ける「沖縄・米兵による女性への性犯罪」が、このほど7年ぶりに改訂され出版された。

 通称「犯罪年表」と呼ばれるこの記録集は、戦後米軍の長期駐留下で起きる米兵士による女性に対する性暴力を、犯罪統計や新聞記事、歴史資料、証言などあらゆる記録を掘り起こすなどして、これまで13版(1945年~2021年12月)を重ねている。

 2016年に出された12版では、400件余だった犯罪件数は、今回の13版では一挙に2・5倍、1000件を超えた。 この7年間にこれだけ米軍人による性犯罪が増えたというのではなく、これまで表に出てこなかった事例を丹念に調べ上げることで増えた件数である。でもそれだけで驚くのはまだ早い。

 性暴力というのは、実際に起こった件数の四分の一程度しか表に出てこないと言われる。性暴力を受けても訴えないケースがほとんどで、実態はこの何倍もある可能性が高いのだ。

 沖縄の女性たちが、この犯罪年表をつくるきっかけになったのは、1995年に起きた米兵3人による少女レイプ事件だった。折しもその年は、「女性への暴力」がテーマの国連第4回国際女性会議が北京で開かれた年。沖縄からは100人近くの女性たちが実行委員会を結成し、11の領域で12のワークショップを持って参加していた。その中に「軍隊による女性への性暴力」をテーマにしたワークショップも含まれていた。

 北京会議を終えて帰ってきた女性たちを待ち受けていたのが、留守中の沖縄で起こった「少女レイプ事件」だった。まさに女性たちが訴えていたことが、北京会議の最中に起こったのだ。女性たちはすぐに声を挙げ、抗議行動を展開、女性に対する暴力は人権侵害であり、犯罪である」「軍隊は構造的暴力」と、ジェンダーの視点で基地・軍隊を問うた。やがて全県的な基地反対運動へと拡がっていった。(それが普天間基地返還⇒辺野古新基地問題へと繋がってゆく)

 沖縄の女性たちは、米国民に対し、世界の警察を標榜してアメリカが世界中に展開している軍隊が、紛争地や同盟国の駐留地で、その国や地域の人たち、特に女性や子どもたちにどんな影響を及ぼしているのかを訴えるため、アメリカピースキャラバンも敢行した。その中で問われたのが、「それでは一体米軍の女性への性暴力がどれほど起きているのか?」ということだった。そこで生まれたのが「沖縄・米兵による女性への性犯罪」(犯罪年表)である。

 ベトナム戦争終結後も、アメリカが世界中で起こす紛争・戦争はいまも続いている。その中で軍隊の女性への性暴力も起こり続けている。これらを無くすには、地球上からすべての基地・軍隊をなくす以外にはないのだ。

 

2023年6月16日リンクURL