返還された北部訓練場跡地に、大量の米軍廃棄物が浄化されずに放置されていることに抗議し、北部訓練場のゲートに廃棄物を置いたことが道交法違反として訴えられているチョウ類研究家・宮城秋乃さんの第一回公判が、18日那覇地方裁判所で開かれた。
裁判を前に正午から、小雨のチラつく中、裁判所前の城岳公園で事前集会が行われた。
事前集会では、担当弁護士から裁判の争点などの説明があった後、支援者からの発言が行われた。
基地軍隊を許さない行動する女たちの会共同代表の高里鈴代さんは、「秋乃さんが告発し続けている米軍跡地の廃棄物汚染は、不平等な日米地位協定にその元凶がある。米軍は返還後の基地の浄化の責任を負わなくてもいいことになっている。その上に国も浄化を行わない無責任状態だ」と批判。
環境学が専門の元沖大学長桜井國俊さんは「秋乃さんへの弾圧は、まさに土地規制法の先取りである。米軍基地が集中する沖縄は、全体が土地規制法がかぶせられ、全県民が監視の対象となる」と今後の抗議活動への影響を懸念した。
秋乃さんも、「私は、犯罪とされるようなアピールや抗議行動をすることで人を裏切ることはあっても、やんばるの生き物たちを裏切ることは絶対にありません」とあいさつ。
「私はこれまで様々な方法で、返還された北部訓練場跡地に、米軍廃棄物が残留していることを訴えてきたが、国は”支障除去は適切に行った”と主張し、隠ぺいを認めていない。米軍廃棄物があることを知りつつ世界自然遺産に登録したIUCNの評価も疑われるかだ。それはやんばるの森だけでなく、世界中の自然遺産の信用も失う。
世界自然遺産推進共同企業体には大手マスメディアも名を連ねている。自然遺産登録は自然保護というよりも観光誘致のために行われている。またやんばるの森に関しては、”米軍基地だったから開発されずに森の環境が守れた”とのプロパガンダに利用されている。基地は環境破壊こそすれ、守ることはない。そんなプロパガンダが拡散されないようにしなければならない。
この裁判を通じて、一刻も早く米軍基地と政府による自然破壊から生き物たちを救えるように、やんばるの森で起っている事実を世にさらしたい。私のためにではなく、森の生き物たちのために支援を」と訴えた。
支持者らと共に裁判所に向かう宮城秋乃さん。