10・21 あれから25年 ② むしろ基地強化 ~ 女性たちが「SACO合意」を問う声明発表

   去る10月21日、1995年の県民大会から25年を迎えた。翌年1996年12月に「SACO合意」が発表され「沖縄の負担軽減」が謳われたが、果たしてそうだろうか?25年たって、改めて検証の必要があるのではないか?

 26日、女性たちを中心とする60団体で構成する「1995年10・21県民大会から25年 「SACO合意」を問う!連絡会」が県庁記者クラブで記者会見を行い、声明を発表した。

 「普天間基地返還」が、「辺野古移設」にすり替わり耐用年数200年と言う強固な新基地建設となり、「北部訓練場の過半返還」は、オスプレイが離発着できる「オスプレイバッドの新設」が目的だった。わずかな土地返還を理由に移設された北谷の「陸軍病院」は、最新設備を備えた近代的な病院に生まれ変わった。巨大な通信施設「像の檻」も他の基地に移され、小さいが宇宙を見据えた最高機能の通信施設に生まれかわった。しかもこれらの移設・建設費用は、全て日本の負担、すなわち私たちの税金である。

 ことほど左様に、「SACO合意の”沖縄の基地負担軽減”はまやかし、”日米同盟の強化”でしかなかった」と女性たちは訴える。

 <声明文全文>

1995年10・21県民大会から25年「SACO合意」を問う

 

 1995年10月21日、宜野湾海浜公園に8万5千人の県民が参集し、前月に起きた米兵による少女への性暴力事件に怒りと抗議の声が渦巻いた。こうした状況に日米同盟関係の揺らぎを案じた日米両政府は、在沖米軍基地の整理縮小を協議する「沖縄に関する特別行動委員会 (SACO)」を設置した。1996年12月に出された「SACO合意最終報告書」には、普天間基地の辺野古への移設(最初は返還と発表された)、北部訓練場の過半の返還など11の基地の移動、統合などが織り込まれた。日米両政府が、「沖縄県民の負担を軽減し、それにより日米同盟関係を強化する」(防衛省HP)ことが目的であった。

 はたして「SACO合意」は、本当に沖縄の負担軽減となっているのか。25年を経た今、大いなる疑問を抱かざるを得ない。「SACO合意」を生み出したあの県民大会の主旨を踏まえれば、沖縄県民が負担軽減に求める第1は、米軍の駐留規模の削減、撤退であった。それは、米軍人軍属の犯罪はじめ、爆音被害・ 演習事故・環境汚染の減少につながるからだ。ところがこの25年間、日米両政府は、米軍規模の削減、撤退を明らかにしないどころか、逆に、復帰後沖縄県に対し開示してきた米軍陸 ・海・空・海兵隊の駐留規模すら、2011年を最後に、現在に至るまで明らかにしていない。また、 25年間、女性への性暴力事件が止むことはなく、さらに米軍基地から発生する事件事故・環境汚染は増加の一途をたどっている。

「SACO合意」の実施過程を振り返ってみると、日米両政府は「沖縄の負担軽減」を枕詞にし、既存の基地内に施設を移設・統合し、機能は再生・継続されている状況だ。少女の受けた暴力の恐怖や痛み・苦しみ、県民の叫びを、日米両政府は日米同盟関係の強化に巧妙に利用したものと言わざるを得ない。沖縄県民が戦後75年にわたり「県民の土地を奪い大きな苦しみを与え続け、基地が老朽化したから、世界一危険だから、普天間飛行場の移設は辺野古が唯一の解決策だと沖縄だけに基地を押し付け続けるのは理不尽である。」このことは、1974年に返還を合意している那覇軍港に関しても同様に考えられるものである。 負担軽減と称し、沖縄を永続的に軍事基地の島へと向かわせる「SACO合意」は検証すべきである。よって、私たちは速やかに以下の実現を要求する。

          

 

 1 辺野古新基地建設を中止し、危険な普天間基地は即時に閉鎖することを求める。

2 日米地位協定を直ちに改正し、返還地の汚染除去を使用者側に義務づけること。

 3 これまで実施された「SACO合意」の検証を求める。

 4 在沖米軍の規模の縮小・撤退、および米軍人軍属の実態を明らかにすること。

 

 「1995年10・21県民大会から25年 「SACO合意」を問う!連絡会

1 辺野古新基地建設を中止し、危険な普天間基地は閉鎖することを求める。

 日米両政府は、普天間基地の危険性除去こそ唯一と強調、固執していますが、これまでの24年間、普天間基地の危険性は増していると言わざるを得ない。

2004年8月13日、普天間基地所属CH輸送ヘリコプターが沖国大に墜落炎上、

2013年9月にはMV22オスプレイが配備され、その爆音は住民生活にさまざまな被害をもたら している。

2016年12月13には普天間基地所属のMV22オスプレイが、名護の安部海岸に墜落、 2017年10.11 CH53E米軍ヘリ高江の牧草地に墜落

2017年12月 緑ヶ丘保育園にヘリコプター部品落下

2017年12月 普天間第2小学校校庭にヘリコプター窓枠落下。 また、辺野古大浦湾の自然の豊かさと地形上の問題は、建設費、建設期間等からして、普天間の危険性除去の理由は正当性を失っている。

 

 2  日米地位協定を直ちに改正し、返還地の汚染除去を使用者側に義務づけること。

日米地位協定では、米軍に軍用地の汚染の浄化を義務づけていない。そのために返還地の汚染は深刻である。2016年1月北谷浄水場やその水源の比謝川など基地周辺の井戸群から高濃度の有機フッ素化合物PFASが検出され県民の健康と命に関わる飲み水の汚染が判明し大問題になったさなか、米軍基地内からPFASを含む泡消化剤が流出する事故が繰り返し起こっている。にもかかわらず、沖縄県の求める基地内立ち入り調査さえも未だ認めない状況である。また、世界的にも貴重な珊瑚や国指定の天然記念物・ジュゴンが生息し、生物多様性に富む「希望の海」大浦湾の環境破壊・世界自然遺産に匹敵する亜熱帯の奇跡・高江の森の環境・自然破壊は深刻である。

 

3 これまで実施された「SACO合意」の検証を求める。 米軍基地の永続的な維持につながり、その新設費用は全額日本が負担している。

 1 キャンプ桑江の土地の返還とは、1960年代に建設され老朽化した海軍病院を、キャ ンプズケランに新設するためであった。

 2 楚辺通信基地⇒「象の檻」と言われた巨大な通信基地は、それ以上に機能強化された通信基地がキャンプハンセン内に全額日本負担で新設されて、「より目立たない 利点がある」、としている。

 3 2012年12月、北部訓練場の過半の返還は、返還地にあるヘリパット6つを、高江 集落を取り囲むように新設された。残存地には15ケ所ヘリパットが存在するのに新たに6つの増設は、MV22オスプレイ対応のオスプレイパットの建設が必要だったからにほかならない。現在、地域住民は普天間基地所属のMV22 オスプレイの飛行訓練による低周波音に苦しめられている。

 

4 駐留米軍の規模を削減し、その実態を明らかにすることを求める。

 女性、子どもへの性暴力犯罪は起こり続けている。

主な事件を上げると,

1998年6月 米軍属による20代の女性への強かん窃盗罪

2000年7月 14歳の少女強制わいせつ。(米国独立記念日休日)

2001年6月 空軍兵士のよる20代女性への強かん事件

2002年11月 海兵隊少佐による強制わいせつ器物破損事件

2004年8月 米軍属による20代の女性への強姦罪(1998年と同一者)

2005年7月 10歳の少女強制わいせつ。(米国独立記念日休日)

2008年2月 14歳の少女性暴力被害。基地外居住の38歳の海兵隊員

2012年10月 米国テキサス州所属海軍兵士が沖縄に2泊滞在中に集団強かん致傷事件

2016年3月 米海軍兵による準強かん事件

2016年4月 20歳の女性強かん・殺害、死体遺棄事件

2019年4月 女性殺害事件後、米軍、

 

日米両政府は、事件に対して素早い対応を示している。2008年の事件には駐日米大使から被害少女へ知事にお見舞いの手紙が託され、米軍全体 の1ケ月間の外出禁止令やリバティ制度の見直しもされたが一時的なものである。犯罪 防止策としての、防犯カメラ増設や2016年にはブルーパトカーも措置されたが、 犯罪は増加の一途とたどっている。このように残虐な事件は、日米地位協定によって駐留米軍の入管法や検疫法が免除されている中で起こり続け県民を恐怖におとしめている。

「1995年10・21県民大会から25年 「SACO合意」を問う!連絡会」

 

 

 

2020年10月27日リンクURL

10・21 あれから25年 ① ~ 起り続ける米兵による性犯罪

 1995年の「10・21」県民大会から25年がたった。米兵による女性への性犯罪は、今も起り続けている。それこそ基地被害の最たるものだ。SACO合意で「沖縄の基地負担軽減と謳いながら、軍隊の削減も撤退もないなければ、基地被害が減るはずもない」と女性たちは訴える。

  あれから25年、10・21を思い起こしてその意味を問い直す節目の年だが、コロナ禍で集会などが開けないため、女性たちを中心に「1995年10・21県民大会から25年”SACO合意”を問う!”連絡会」として、26日記者会見を行い声明を発表する。

 

 

2020年10月26日リンクURL

日本学術会議新会員候補6の任命拒否に抗議し、撤回を求める声明 ~ 沖縄9条連が記者会見

 今日(23日)、沖縄9条連(憲法9条を世界へ未来へ  沖縄連絡会)は、県庁記者クラブで記者会見を行い、今回の新会員6名の任命拒否は、明らかに国策に異論を唱えた経緯のある学者らを排除する異例の措置。憲法が保障する学問の自由に対する政府の不当な政治介入、表現の自由の侵害であるとして「日本学術会議新会員候補6名の任命拒否に強く抗議し、その撤回を求める声明」を発表した。

  共同代表のダグラス・ラミス氏、海勢頭豊氏らは、それぞれに「日本国憲法は23条で”学問の自由は、これを保障する”と明確に謳っており、その文言以外に一切の条件はない。今回の6名の任命拒否は、それぞれの専門分野における学問的見地から、政権を批判した学者ばかりを排除した。明らかに学問の自由を謳った憲法23条に違反している」

「21条では、集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する、としており、任命拒否の具体的な理由も一切明らかにされていないが、その研究内容を表現した言論、出版をはじめとする表現活動が理由となっていることは明らか。憲法が保障する表現の自由をも侵害している」

「学術会議の会員は、多くの方々が大学はじめ教育に携わっている。国策、政権の意に沿った教育しか認めないというならば、戦前の軍国主義教育への回帰を想起させる」

さらに、「沖縄に関連していえば、特に辺野古の闘いは、さまざまな分野の専門家が検証し、県民の主張の正しさを文化的、歴史的、法律、環境、自然科学などあらゆる分野から科学的に証明して、支えられている。沖縄の闘いの場からも、抗議の声を上げていかなければならないと思い、今回の抗議声明の発表となった」としている。

 

 沖縄9条連では、全国93の各都道府県・地域の9条連にも呼びかけ、連携してさらに声を上げていく、としている。

 

<抗議声明  全文>

内閣総理大臣 菅 義偉 様

 

日本学術会議新会員候補6人の任命拒否に強く抗議し、その撤回を求める声明

 10月1日、菅義偉首相は、日本学術会議が推薦した新会員候補105人のうち、憲法学者や歴史学者ら6人の任命を拒否した。

1983年の「日本学術会議法」改正によって、「学術会議の推薦に基づいて、首相が任命する」方式となって初めて、極めて異例の任命拒否である。

 6人の候補者は、安倍政権の推進した「安全保障法」や「共謀罪法」の制定に、それぞれ専門的見地から批判的意見を述べていた。行政法学者の岡田正則早大教授は、名護市辺野古の新基地建設をめぐって、防衛省の「行政不服審査法」に基づく審査請求を専門的見地から批判した。「法令に適合しない工事を止めさせることは、県の責任として当然に行うべき事柄である」と県の埋め立て承認撤回を評価していた。

 今回の6人の任命拒否は、明らかに安倍政権の政策に異論を唱えた経緯のある学者らを排除する異例の措置、学問の自由に対する政府の不当な政治介入である。

 菅首相は、6人の候補者を任命拒否したばかりか、その理由を説明することも拒否しようとした。だが、学術会議をはじめ多くの国民からの抗議と説明を求める声に、5日になってやっと、「任命は、総合的・俯瞰的な活動を求める観点から判断した。」と意味不明の説明をした。

日本学術会議法17条は「優れた研究または業績がある科学者から候補者を選考」と定める。210人の会員と約2,000人の連携会員の中から、それぞれ専門部ごとの委員会で、研究、業績を評価した上で選考し、推薦される。

 学術会議が選考し、推薦した候補者を、学術に携っていない現職首相が判断することは不可能であり、また権力を行使する側が判断すれば、学問への不当介入になる。

1983年の「日本学術会議法」改正時、中曽根康弘首相(当時)は「推薦に基づいて会員を任命することとなっており、形式的任命である」と応え、総務長官も「形式だけの任命制であって、推薦していただいた者は拒否しない」と答弁、それを法律案審議録として記録、「内閣総理大臣が会員の任命をする際には、学術会議の推薦に基づくという法の趣旨を踏まえて行う」とわざわざ付帯決議まで行っている。

菅首相は、この法律案審議録を秘密裏に解釈改ざんさせ、付帯決議をも無視して任命拒否を強引に推し進めている。

 安倍前首相は、法制局長官を入れ替え、「集団的自衛権の行使容認」の解釈変更で、憲法9条を解釈改憲した。「安倍政治の継承」を掲げる菅首相は、学術会議法審議録を秘密裏に解釈改ざんさせ、「形式的任命」を実質的任命権の行使へと変更し、憲法23条の学問の自由を破壊せんとしている。

 この任命拒否に、学術会議をはじめ多くの国民が、「学術会議への不当介入・学問の自由侵害」と抗議が湧き起こると、菅首相は「推薦段階の名簿(105人)は、見ていない」と言い放った(10月9日)。菅首相のこの発言は、窮地を脱するための言い逃れであったにせよ決定的に重要である。日本学術会議法に基づかない違法な任命行為であったことを首相自ら認めているのだ。

 官邸や自民党は、窮地に立たされた菅首相を援護するために悪辣な学術会議攻撃を強めている。下村政調会長や甘利税調会長らは、「学術会議はここ数年答申も出さず活動が見えない」「政府を批判し、中国と協力している」等の有り得ないフェイクを拡散させ、他方、党内に学術会議のあり方を検証するプロジェクトチームまで立ち上げている。

「政府から独立した立場で、科学を行政や産業、国民生活に反映させることを目的」とする日本学術会議を、任命権の実質的行使をもって統制し、政権の意に従う機関へとつくり変えようとしているのだ。

今回の日本学術会議の推薦した新会員候補6人の任命拒否は、日本学術会議法に基づかない重大な違法行為であるばかりか、憲法23条の保証する「学問の自由」への侵害である。

 

私たち沖縄9条連は、菅首相による6人の任命拒否に抗議し、次のことを要求する。

1.菅首相は、6人の任命拒否を直ちに撤回し、学術会議の推薦した候補全員を任命すること

1 日本学術会議への不当な介入や悪辣な攻撃を直ちにやめること

1 憲法23条、学問の自由を尊重し、日本学術会議法を順守すること

  2020年10月23日

憲法9条―世界へ未来へ 沖縄連絡会(略称―沖縄9条連)

〒904-0107 沖縄県中頭郡北谷町大村642-2

共同代表:安里英子 安次嶺美代子 海勢頭豊 崎山律子 C・ダグラス・ラミス 

仲村未央 源啓美 山内榮

 

 

 

2020年10月23日リンクURL