浜下り(ハマウリ)
沖縄の女の子の節句は旧暦の3月3日に行われます。
おひな様は、人形(ひとがた)に穢れを移して川や海に流すことから始まったと言われます。
沖縄には、もともとおひなさまの習慣はなく
浜辺に下りて、塩水に足を浸すことで穢れを祓うとされています。
そのため、この日女の人たちは、こぞってお重にご馳走を詰め、浜辺に下り
潮干狩りや船遊びをした後、お重を広げて唄ったり踊ったり
あるいはお芝居見物と、一日を楽しみます。
日頃、家事や子育てで忙しい女の人たちも
この日ばかりはおおっぴらに遊ぶことが認められていたそうです。
時代も変わり、都会では浜下りの習慣もすっかり廃れてしまいましたが
地方や離島においては、今もしっかり受け継がれているところが
まだまだあります。
そのひとつが、我が故郷・渡嘉敷島の「浜下り」です。
いまは女の人たちだけでなく
集落の人たち全員が集まります。
今年の旧暦3月3日は、先週末の金曜日でした。
どういう訳か渡嘉敷集落では、3月3日ではなく、4日に「浜下り」行事を行います。
それぞれが家自慢の一品料理を持ち寄り分け合いながらいただき、
おばあさんたちの祈りを込めた古謡にはじまり、今どきの民謡ショー、カチャーシーと
とても賑やかです。
渡嘉敷島の「浜下り」がユニークなのは、
旧暦の3月のはじめは折しも年度の変わり目に当たることから
島に赴任してきた新しい先生の紹介や、任期を終えて島を去る先生方のお別れのあいさつも
この席で行われます。
また、新学期に新一年生になった児童や
この一年間に生まれた赤ちゃんが紹介され、集落の人たちから祝福を受けます。
寂しいのは、かつては浜辺の砂浜で行われたのですが
そこは埋め立てられて港の桟橋になってしまったので
今は、港の待合所が「浜下り」行事の会場となっています。
締めくくりは、
夕方の4時、港を出港するフェリーで島を離れる先生方が
五色のテープを引きながら去って行くのを、みんなで見送る、
そんな風景も恒例となっています。
(写真提供は友人の米田英明さんと私の妹)