11月の末
今年一番の冷え込みだという札幌に降り立った。
飛行機の窓から眺める北の大地は
まばゆいばかりの白一色。
七年ぶりの北海道だった。
一ヶ月以上も前のことを今さらという声も聞こえそうだけど
どうして伝えたいことがある。
それは、アイヌの人たちのこと。
北海道へ行った主な目的とは別に、
案内して下さる方があって、アイヌの歴史・文化資料館である
ピリカコタン(アイヌ文化交流センター)を訪れる機会をいただいた。
博物館には、かつてアイヌの人たちが使っていた生活用品などが
見事に復元され展示されていた。
これらの展示品は
アイヌ協会のみなさんが、すべて手作りで復元制作したという。
北海道開拓の名の下に和人によって
先住民であるアイヌの人たちの暮らしや文化が奪われていった歴史も語られている。
アイヌ民族に対して、未だに続く搾取と差別の現場にも立ち会った。
それは、「先祖の遺骨を返して!」と
3人のアイヌの人が、北海道大学を訴えた裁判の第一回公判を傍聴する機会を得たのだ。
いまだにこんなことがあるのだと
知らなかったことが、正直恥ずかしかった。
翌日、北海道新聞は
この裁判のことを、小さい記事で次のように伝えた。
共通するのは、問題の根底に差別の構造が横たわっていること、
常に、踏みつける側は、踏みつけられる側の痛みを知ろうとはしない。