シーミー(清明祭)

 

シーミー(清明祭)沖縄のご先祖を大切にする風習のひとつ。
太陰暦の季節区分・二十四節季のひとつ「清明の節」期間中に、
親族がうち揃い、重箱に詰めたご馳走を持って集まりご先祖のお墓参りをします。

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お祈りが済んだら、お供えしたご馳走のお下がりを、お墓の中庭でひろげ、皆でいただきます。

 
芸達者な人が居る場合には、歌や踊りも飛び出し、さしずめ満開のさくらの下で繰り広げられるお花見会かピクニック、
という感じでしょうか!

 

 

ご先祖を一にするこの親族の一団を門中(むんちゅう)といい、大きな門中になると何百人なんていうのもあります。

これだけの親族が一堂に会するなんてそうはありませんから、

お重の中味

お重の中味

この機会にと、この一年間に結婚した人、生まれた赤ちゃん、高校や大学へ進学した若者の紹介、その他の近況報告など、門中の総会のようなことを行う一門もあります。

 

今年の清明の節は4月12日から15日間で
本来ならこの期間にお墓参りをしなければならないのですが、今どきは一同が集まりやすいよう清明節前後の週末土・日や
GWの連休に行うところも少なくありません。

シーミー ①

 

清明祭の風習は同じ沖縄の中でも地域によって違いがあり、神々の島と言われる久高島では、お墓参りはなく、お家のお仏壇の前で行うそうです。

ちなみに私の故郷・渡嘉敷島では「清明祭(シーミー)」は行いません。

2013年4月27日リンクURL

浜下り(ハマウリ)由来記

沖縄の女の子の節句は雛飾りではなく、
「潮干狩りや舟遊びなど、潮水に足を浸し、穢れを祓う」と言いましたが
これには、こんな言い伝えがあります。

 

浜下りで潮干狩りを楽しむ

浜下りで潮干狩りを楽しむ

昔むかし、ある村に一人の美しい娘がおりました。
村いちばんの美女というだけでなく、気だてもよく、しかも評判の親孝行娘。
村中の若者たちが言い寄りますが、娘は誰にもなびきませんでした。

年頃の娘が、どんな結婚話にも頷かないので
心配した両親が聞いたところ
実は娘には、夜な夜な彼女の寝所に偲んでくる思い人がいたのです。

「どこの誰だ!」と問いただしたのですが
いつも彼女が夢うつつの状態のときにやってくるので
娘にも、どこの誰なのか正体がわかりません。

それでは正体を確かめようというので、村の物知りの智恵を借り、
訪ねて来たその見目麗しき青年が帰るとき
「こっそり、着物の裾に長く細い糸をつけた縫い針を刺すように」と両親は
娘にしっかり言い含めました。

青年が帰った翌朝、糸をたぐって行くと
海岸近くの洞窟の中にたどり着きました。
そこで両親が見たものは!今にも飛びかからんばかりに目を光らせどくろを巻いている
八岐大蛇のような大蛇(アカマタ)でした。

大蛇(アカマタ)伝説

大蛇(アカマタ)伝説

ビックリ仰天した両親は急いで帰って事の次第を話すと
娘は泣きながら「すでに身重になっている」と告げます。

改めて村の物知りに相談したところ
「3月3日の大潮の日に、海へ行き汐水に足を浸して身を清めるように」とアドバイスされます。

言われたとおりに祈りを込めて潮水に足浸し身を清めたところ
娘の身体から無数の小さなヘビが産まれ出て、海に流されて消えて行きました。
以来、女の子は旧暦3月3日の大潮の日に、浜下りをするようになったということです。

 

このような古い言い伝えが残る浜下り(ハマウリ)ですが
そのいわれは知らなくても
折しも水温み、風爽やかな季節、浜辺で潮干狩りをし、唄い踊り、船遊びをするのは
とても気持ちがよいものです。

女の子は赤ちゃんも…

女の子は赤ちゃんも…

祖母が元気だった頃は、
お重の中には定番の赤い寒天、串に刺したゆでピーナツ、緑のよもぎ餅、魚の唐揚げなどが、形良く並んでいたのを、懐かしく思い出します。

2013年4月25日リンクURL

浜下り

浜下り(ハマウリ)

渡嘉敷区浜下り1

 

沖縄の女の子の節句は旧暦の3月3日に行われます。

おひな様は、人形(ひとがた)に穢れを移して川や海に流すことから始まったと言われます。

 

沖縄には、もともとおひなさまの習慣はなく

浜辺に下りて、塩水に足を浸すことで穢れを祓うとされています。

 

そのため、この日女の人たちは、こぞってお重にご馳走を詰め、浜辺に下り

潮干狩りや船遊びをした後、お重を広げて唄ったり踊ったり

あるいはお芝居見物と、一日を楽しみます。

 

日頃、家事や子育てで忙しい女の人たちも

この日ばかりはおおっぴらに遊ぶことが認められていたそうです。

 

時代も変わり、都会では浜下りの習慣もすっかり廃れてしまいましたが

地方や離島においては、今もしっかり受け継がれているところが

まだまだあります。

 

そのひとつが、我が故郷・渡嘉敷島の「浜下り」です。

いまは女の人たちだけでなく

集落の人たち全員が集まります。

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今年の旧暦3月3日は、先週末の金曜日でした。

どういう訳か渡嘉敷集落では、3月3日ではなく、4日に「浜下り」行事を行います。

 

それぞれが家自慢の一品料理を持ち寄り分け合いながらいただき、

おばあさんたちの祈りを込めた古謡にはじまり、今どきの民謡ショー、カチャーシーと

とても賑やかです。

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渡嘉敷島の「浜下り」がユニークなのは、

旧暦の3月のはじめは折しも年度の変わり目に当たることから

島に赴任してきた新しい先生の紹介や、任期を終えて島を去る先生方のお別れのあいさつも

この席で行われます。

今年、島に赴任してきた先生方の紹介

今年、島に赴任してきた先生方の紹介

 

 

また、新学期に新一年生になった児童や

この一年間に生まれた赤ちゃんが紹介され、集落の人たちから祝福を受けます。

 

双子の赤ちゃんが紹介されました

双子の赤ちゃんが紹介されました

 

寂しいのは、かつては浜辺の砂浜で行われたのですが

そこは埋め立てられて港の桟橋になってしまったので

今は、港の待合所が「浜下り」行事の会場となっています。

 

締めくくりは、

夕方の4時、港を出港するフェリーで島を離れる先生方が

五色のテープを引きながら去って行くのを、みんなで見送る、

そんな風景も恒例となっています。

(写真提供は友人の米田英明さんと私の妹)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2013年4月24日リンクURL