浜下り(ハマウリ)由来記

沖縄の女の子の節句は雛飾りではなく、
「潮干狩りや舟遊びなど、潮水に足を浸し、穢れを祓う」と言いましたが
これには、こんな言い伝えがあります。

 

浜下りで潮干狩りを楽しむ

浜下りで潮干狩りを楽しむ

昔むかし、ある村に一人の美しい娘がおりました。
村いちばんの美女というだけでなく、気だてもよく、しかも評判の親孝行娘。
村中の若者たちが言い寄りますが、娘は誰にもなびきませんでした。

年頃の娘が、どんな結婚話にも頷かないので
心配した両親が聞いたところ
実は娘には、夜な夜な彼女の寝所に偲んでくる思い人がいたのです。

「どこの誰だ!」と問いただしたのですが
いつも彼女が夢うつつの状態のときにやってくるので
娘にも、どこの誰なのか正体がわかりません。

それでは正体を確かめようというので、村の物知りの智恵を借り、
訪ねて来たその見目麗しき青年が帰るとき
「こっそり、着物の裾に長く細い糸をつけた縫い針を刺すように」と両親は
娘にしっかり言い含めました。

青年が帰った翌朝、糸をたぐって行くと
海岸近くの洞窟の中にたどり着きました。
そこで両親が見たものは!今にも飛びかからんばかりに目を光らせどくろを巻いている
八岐大蛇のような大蛇(アカマタ)でした。

大蛇(アカマタ)伝説

大蛇(アカマタ)伝説

ビックリ仰天した両親は急いで帰って事の次第を話すと
娘は泣きながら「すでに身重になっている」と告げます。

改めて村の物知りに相談したところ
「3月3日の大潮の日に、海へ行き汐水に足を浸して身を清めるように」とアドバイスされます。

言われたとおりに祈りを込めて潮水に足浸し身を清めたところ
娘の身体から無数の小さなヘビが産まれ出て、海に流されて消えて行きました。
以来、女の子は旧暦3月3日の大潮の日に、浜下りをするようになったということです。

 

このような古い言い伝えが残る浜下り(ハマウリ)ですが
そのいわれは知らなくても
折しも水温み、風爽やかな季節、浜辺で潮干狩りをし、唄い踊り、船遊びをするのは
とても気持ちがよいものです。

女の子は赤ちゃんも…

女の子は赤ちゃんも…

祖母が元気だった頃は、
お重の中には定番の赤い寒天、串に刺したゆでピーナツ、緑のよもぎ餅、魚の唐揚げなどが、形良く並んでいたのを、懐かしく思い出します。

2013年4月25日リンクURL