4月28日、沖縄県民は「屈辱の日」と呼ぶ。1952年、沖縄が「日本」から切り離され、米国に人質として売り飛ばされた日だ。
沖縄県民にとってさらに、9年前(2016年)の4月28日に起こった忘れられない出来事がある。

当時、うるま市に住んでいた20歳の女性が、家族に「ウォーキングに行く」と言って出掛けたまま、行方不明となり、3カ月後米軍訓練場に通じる山中で、白骨死体となって発見された。
犯人として逮捕されたのは嘉手納基地勤務の軍属で元海兵隊員。ウォーキング中の女性を後ろからこん棒(米軍の武器)で殴り倒し、首を絞めたうえナイフで刺してレイプしたと供述している。残忍極まりない。

献花台が設けられた遺体遺棄現場で、10人ほどの人たちが花を手向け祈りをささげた。 ここで手を合わせるたび「二度とこのようなことが起こらない社会を目指す」と誓いながら、悪夢が何度も繰り返されている。申し訳ない思いに苛まれ、無理力感を感じずにはいられない。

元金武町長で翁長県政で政策調整官も勤めた吉田勝弘さんが、この9年間花や供え物が絶えないこの場所を清掃・草刈り・花を植え整え守ってきた。

被害者の女性は、結婚を間近に控えていた。女性の父親と交流があり、事件が無ければ「今頃は孫がいたかもしれない」と、吉田さんによく話しているいう。



本来山中にはない花が咲いている。供えられた花から種が落ちて広がったものや、お供えの鉢植えを、吉田さんが土に植え直しているという。
蜜を求めて蝶も飛んでいた。