軍事主義を許さない国際女性ネットワーク会議 IN OKINAWA ⑤ 持続可能な未来に向かって

最終日の26日は、朝9時からクローズメンバー全員で会議全体を振り返りと共にこれからの活動をどう充実、進展させていくかを、車座になり膝を交えて話し合った。

2年後の次回開催地の決定までには至らなかったが、今回のテーマ「軍事主義に抗し、持続可能な未来」の実現に向けて、ネットワーク会議としてできることとして、数々の具体的な的な提案が出された。

例によって、真剣な話し合いの中にも、時々身体を動かして、心も身体も癒すのが、国際女性ネットワーク流。

 

 

 

 

 

最後に、この後3時から行われる記者会見に向けて、声明文をこれも全員で練り上げた。

                         <記者会見:県庁記者クラブ>

午前中で帰国の途につく外国メンバーもいたが、ほぼ全員で記者会見に臨み、5日間の会議の成果を声明文にして発表した。

<声明文>

米国の軍事主義に抗し、韓国、フィリピン、沖縄、日本、そしてアメリカの女性たちが、この沖縄の地で連帯してからちょうど20年。この間、女性たちのネットワークはさらに広がり、プエルトリコ、ハワイ、グアムの女性たちが加わって、安全保障の脱軍事化・脱植民地化をジェンダーの視点から検証し、各国(地域)の現状報告をもとに、沖縄で起こり続けている女性に対する暴力をはじめ、基地・軍隊がもたらす暴力、環境破壊、差別、植民地支配などを共通課題に、その解決にむけて取り組んできた。

そして9回目を数える今回、私たちは6月22日から26日までの5日間にわたって「軍事主義に抗し、持続可能な未来を」をテーマに集い、あらたにすべての米軍基地閉鎖の必要性を確認した。

今回の会議では、軍隊と性暴力、植民地支配からの脱却と経済的自立、あらゆる軍事化への抵抗、環境汚染問題、安全保障の再定義が議論された。とりわけ、各国(地域)からの共通の課題として報告されたのが、先住民族の権利が侵害され、軍隊による性暴力、性売買、あるいは聖地での基地建設・演習によって貴重な文化や自然が破壊されるなど、極めて深刻な事態が起こっていることである。しかしながら辺野古の新基地建設に顕著なように、今や警察官・海上保安庁職員が軍隊化され、アメリカの警察による有色人種への暴力や国境警備の軍事化、軍事費の増額等で私たちを取り巻く環境は悪化の一途をたどるばかりである。

沖縄の人々は、高江へのオスプレイパッド、辺野古への新基地建設阻止にむけて非暴力の抵抗を続けている。こうした沖縄の地で「国際女性ネットワーク会議」が開催された意義は大きい。私たちは軍事主義によらない平和と正義、ジェンダー平等で持続可能な未来にむけて新たな経済システムを構築し、各国(地域)が直面する米軍基地・軍隊の以下の課題解決について日米両政府をはじめ各国関係各位に求め、グローバルな活動に取り組むことを確認した。

 

一 高江のオスプレイパッド・辺野古新基地建設の中止

一 宮古島・石垣島への自衛隊配備の中止

一 返還時の環境汚染と浄化の責任     

一 米国、日本の軍事予算の削減と社会福祉、医療、環境保護などへの予算配分

一 日本国憲法9条の確実な実施

一 京都府経ヶ岬でのX-bandレーダー配備の撤回

一 グアムのリテクサン(リティディアン)近くの実弾演習場建設中止

一 マリアナ諸島の訓練演習の中止

一 韓国へのTHAADミサイル配備の撤回

一 朝鮮戦争の終結

一 韓国・済州島の軍事基地化に反対

一 米国と接受国政府による米軍基地周辺の性売買女性(米軍「慰安婦」)への謝罪

一 RIMPACなどの多国籍軍事演習を中止

一 ポハクロアの浄化、主権国家ハワイへの返還

一 プエルトリコのビエケス島などでの撤退後の汚染浄化

一 米比防衛強化協定の撤廃

 

私たちは、武力増強と行使ではなく外交による対話を求め、米軍基地のある他の地域にも呼びかけて、ジェンダー平等と社会正義に基づく持続可能な未来に向け、ネットワークづくりを進めていきたい。

 

2017年6月26日

第9回 軍事主義を許さない国際女性ネットワーク会議in Okinawa

                <参加者から、開催地・沖縄へ送られたサイン入りバナー>

すべての日程を終え、記者会見後の県庁ロビーで五日間にわたるお互いの踏ん張りを讃えあって解散した。

2017年7月4日リンクURL

軍事主義を許さない国際女性ネットワーク会議 IN OKINAWA ④ オープンフォーラム

4日目の25日は、5日間の会議期間中唯一の公開プログラム(会場:沖縄大学)。午前中は参加各国がそれぞれの国の状況を報告。特に、最近大統領が代わって国の状況が大きく変動したアメリカ、フィリピン、韓国の報告に注目が集まった。

オープンフォーラムには会場がほぼ満席になるおよそ150人が参加。同日高江で大きな集会があり、いつも高江や辺野古で顔を合わせるメンバーの多くが参加できない状況の中で、この会議に対する県民の関心の高さがうかがわれた。

それぞれの国(地域)で、当事者として草の根の活動を長年続けている女性たちの報告は、沖縄の実情とも重なり、実感を伴って伝わってくるものがある。

報告によると、韓国では2016年に地元の反対を押し切り高高度防衛ミサイル(THAAD・サード)が配備された。そのことによって中国や北朝鮮との緊張関係をより高めている。

ハワイでは、ハワイ島の中心部にある実弾演習場で劣化ウラン弾が使用されたことが、最近になって明らかとなり、放射能汚染が懸念されている。

米軍の広大な実弾演習場を抱えるグアムは、演習場の周辺地域や海域への立ち入り禁止が、年間27日以上も続き、漁業や観光に深刻な影響を与えているという。

米軍が駐留地の人々の強い反対を顧みることなく、工事や演習を強行できる背景には、米国と駐留国(地域)との植民地的関係があるとの共通認識が示された。

沖縄、フィリピン、韓国からは、不平等な地位協定の存在が、米軍の事件事故、騒音・環境汚染、軍隊の性暴力などで、駐留国の住民の暮らしを脅かしている実態が報告された。

世界中に軍隊を派遣し続けているアメリカは、膨大な軍事費によって、本来守るべきである国民生活に、深刻な影響を及ぼしている実態が報告された。カルフォルニアだけで11万人を越えるホームレスがおり、子ども貧困はの6人に1人と言われている。

すでに60兆円を超える世界一位の軍事費を費やしながら、新大統領にえらばれたトランプ政権は、貧困にあえぐ国民を置き去りにしてさらに軍事費を増やすと宣言している。

<←アメリカの国家予算の配分を示す映像>

「止まるところを知らない軍事化の増強は、一体だれのためなのか?真の安全保障とは!」と、女性たちは改めて問うている。

 

この後、昼食時間を利用して、韓国・チェジュ島のカンジョン村で、米軍住宅の建設に反対する人々の10年間にわたる抵抗の記録を追ったドキュメンタリー映画が上映された。

警察機動隊に何度も何度も排除されながら、あきらめずに反対の声をあげ続ける姿は、まるで辺野古・高江の映像を見ているかのようだった。

 

 午後の日程の途中、県外出張から戻ったばかりの山城博治さんが、那覇空港から直行であいさつに駆けつけみんなの大拍手で迎えられた。いま話題の不屈の人・博治さんの登場に、会議のメンバーは大いに勇気づけられた。

 午後からは5つのテーマ別分科会に分かれて、さらに議論を深めた。

オープンフォーラムでは、各国の展示も行われた。

深刻で辛い話の多い会議で、声を詰まらせたり涙ぐむこ場面もたびたびだが、女性たちは明るくたくましい。夕食会場へ向かうタクシーを待つ間のわずかな時間も誰からともなく歌い踊り出し、楽しむ。

2017年7月3日リンクURL

軍事主義を許さない国際女性ネットワーク会議 IN OKINAWA ③ 辺野古で抗議の声をあげる

三日目・24日(土)は辺野古の座り込みに参加。この日大浦湾では護岸工事に抗議する海上パレード行われるため、一行を乗せたバスは、まずは瀬嵩の浜へ直行。外国メンバーを中心に抗議船に乗って、海上から抗議行動に参加した。(私は船に乗れなかったので、写真はありません)

 カヌーチームは22艇で「ジュゴンを救え」のアピール。(工事の影響で餌場が荒らされ、ジュゴンが寄り付かなくなった)

 韓国メンバーは、抗議船への乗船順番待ちの間も砂浜で抗議行動を展開。

ゲート前では、大浦湾の写真の絵ハガキに思いを書いて繋げたメッセージカードを持って挨拶。沖縄への強い連帯と支持を表明した。

 

 

 

 

ゲート前のテントの下で昼食のお弁当を済ませた後、那覇へ戻る途中、昨年、元海兵隊員の性暴力を受け殺害された20歳の女性の遺体遺棄現場を訪れた。

いまも、現場の祭壇に被害女性を悼む花や供物の絶えない。

アメリカメンバーの一人が、先住民の祈りの方法でその場を清め、一人一人が野の花を積んで被害女性の霊に捧げて冥福を祈った。

この国際女性ネットワーク会議の発端が、1995年に小学生の少女が三人の米兵に性暴力を受けたことだっただけに、20年たっても変わらぬ沖縄の現実を改めて突き付けられ、何人も涙を拭う姿があった。

この後の日程は、沖縄大学を会場に5つのテーマに分かれて分科会討論が行われる。

大型バスが満席。強硬スケジュールも何のその元気いっぱいの女性たち。

予定より1時間近く遅れて、午後の日程である分科会の会場・沖大に到着。早速五つのテーマ別分科会に分かれて討議が行われた。

第一分科会:「軍隊と性暴力~女性・子どもの人権」

第二分科会:「植民地主義からの脱却と経済的自立(地域に根差す)」

第三分科会:「軍事化に抗して~非暴力・紛争予防・軍事費削減」

第四分科会:「基地と環境汚染・環境保全」

第五分科会:「安全保障の再定義(法律・協定など」

これらの分科会討議は、翌25日の公開プログラムでさらに討議を深め、内容が発表される。

2017年7月2日リンクURL