慰霊の日、心穏やかに戦争で犠牲になった人々の冥福と恒久平和を祈りたいと毎年摩文仁に出かけている。しかし、一昨年あたりから、式典会場周辺はまるで戒厳令下のようだ。不快な思いにさせられる。
まず、会場に辿りつくまでが大変。度を越した交通規制や警備。かつては平和公園内に誰でも車を停めることが出来た。安倍暗殺事件以来、招待客など通行許可証を有する車以外は公園に近づくことさえできない。遠くの指定駐車場に停めて、シャトルバスで運ばれる。これでは体の不自由な人や高齢者は、慰霊の日に気軽に平和の礎に行くこともできない。健常者でも公園にたどり着くまでに時間がかかり、面倒なのでイライラして疲れる。
式典会場は周囲をテントでとり囲み、中の様子が見えないようにされた。かつてはオープンで、誰もが周辺の木蔭に腰を下ろして式典の模様を見ることが出来た。しかもその外側をさらに2重にロープで囲い、漏れてくるスピーカーの音さえ、外へは届かない。
会場に入るには、空港の手荷物検査場並みのチェックを受ける。
やっと中に入ると、今度はこのような注意書きを持った県の職員が3メートルおきくらいに立っている。
会場の中は、他にもSPとみられる黒服の男たちが何人も目つき鋭く周辺をにらんでいた。式典が始まると写真も撮影禁止になった。無視して写そうとしたら、係員が飛んできて、2度も追い払われた。
そんな状況だから、県民に敬遠されて、会場の半分から後の席はがら空き状態。県民がいなくて、いったい誰のための追悼式だかわからない!すべては総理の安全のためにだ。県は総理の出席を断るべきだ。「あなたの命を守れないから、どうぞ出席はご遠慮下さい」と丁重に。莫大な警備費もいらなくなり、税金の無駄使いも減らせる。立派に理由が立つ。なにより県民が自由に気軽に平和公園へ慰霊にこれることを優先してほしい。どうせ、総理が出席しても、いつものように気持ちのこもらない、ここだけ言葉だけのあいさつしかしないのだから…。