黄金言葉 くがにくとぅば(ことわざ)

沖縄では、「ことわざ」のことを「黄金言葉(くがにくとぅば)」といいます。

テッポウユリ

テッポウユリ

97歳の天寿を全うした我が祖母は(生きていたら111歳)
孫である私を叱ったり、諭したり、または褒めたりするとき、
よく黄金言葉を使いました。

「ユクシムニーやジョウ(門)までん通らん」
⇒「嘘は門を出るまでにはバレてしまうよ」とか

「ヤー(家)慣れーや外慣れー」⇒「家でのいつもの癖が外でも出てしまう」
つまり、「家ではだらしなくしていても、外ではちゃんとするから」なんて言い訳は通用しないよと、よく叱られたものです。

マキバブラシ~渡嘉敷にて

マキバブラシ~渡嘉敷にて

教えて貰った黄金言葉はたくさんありますが、中でも
私が好きなのは「チュイ タレイ ダレイ(一人 足れい足れい)」です。

どんな人も一人で「完全・完璧」とはいきません。
相手の欠点を責めるのではなく、それとなくカバーしてあげる。
自分の足りないところは、教えてもらう。
つまり、「お互いに足りないところを補い合う」という人間関係です。

 

また「みんながそれぞれ得意なことを持ち寄り、発揮して
何か一つのことをやり遂げる」、そんなときにも使われます。

かつては、それこそ近所同士で味噌・醤油まで貸し借りしたものです。
物心両面、足りないところをお互いに補い合うという
ここにも根底に「ゆいまーるの精神」が生きています。

野ボタン

野ボタン

祖母が語る黄金言葉は、子どものときは理解できなくても
大人になって、人生の大事な場面で
「あぁ、あれは、そういうことだったのか!」と
胸に落ちることがなんどもありました。
まさに黄金言葉です。

どこかでこれらの言葉に出会うたび
いつも私を抱いて眠ってくれた祖母のふくよかな胸の感触と ぬくもりをふくふくと思い出す今日この頃です。

2013年5月22日リンクURL