76年目の慰霊の日 ② ~ 魂魄の塔

 まだ10時過ぎだったが、慰霊碑の前にはすでにたくさんの花やお供え物でいっぱいだった。

 戦後3か月から半年たって捕虜収容所から解放された人々がふるさとの地に戻ると、累々たる白骨が野ざらしになっていた。地域の人々が力を合わせて拾い集めた遺骨を、一か所に集めて祀った場所が「魂魄の塔」である。 遺骨は誰ともわからず、後に国立墓苑が建立されまとめて納骨された。

 国内唯一の地上戦となり、3か月間にわたり鉄の暴風が吹き荒れた沖縄戦は、自分の家族がいつ、どこで、どのように最後を迎えたのかもわからず、お墓に遺骨はない。そういう遺族は慰霊の日には「魂魄の塔」にお参りする。

 ここ魂魄の塔から200㍍ほどのところに、いま問題になっている辺野古埋め立て土砂の採掘を始めた熊野鉱山がある。「遺骨混じりの土砂を辺野古の埋立てに使うな!」と、沖縄の人たちが反発する背景がここにある。

 

 折り鶴で描かれた「平和」の文字に添えられたメッセセージは、「私たちと軍事・軍隊の共存はできない」沖縄の思いを、私たちも応援します。

 

 例年、ここ魂魄の塔の横の広場で、市民グループ主催の「国際反戦集会」が行われるが、昨年に続き今年もコロナ禍で中止となり、ネット配信となった。

 

 

 

2021年6月23日リンクURL