宮城秋乃さんに対する家宅捜索は「人道に反する」 ~ 4市民団体が抗議声明

 NPO法人:奥間川流域保護基金、沖縄環境ネットワーク、沖縄平和市民連絡会、ジュゴン保護キャンペーンセンター(SDCC) の4団体は、 昨日(6/10)午後3時から県庁記者クラブで緊急抗議の記者会見を行い、沖縄県警が蝶類研究家・宮城秋乃さんの自宅を家宅捜索を行い、執拗に宮城さんに事情聴取を行っていることに対し抗議声明を発表した。

 記者会見に臨んだ各団体の代表は、「宮城さんの行動は、研究者として貴重生物を守るための環境保護運動であり、家宅捜索は市民運動への圧力だ」「人道に反する」「土地規制法の先取り」と訴えた。

<6月11日 琉球新報>

抗 議 声 明

「捜索されるべきは米軍基地とその跡地である」

〜宮城秋乃さんの活動を支持し、沖縄県警の強制捜査に抗議します〜

 

 今月4日に沖縄県警が東村在住の蝶類研究家・宮城秋乃さんの自宅を家宅捜索し、パソコンやタブレット、ビデオカメラ等を押収、以後連日の取り調べを行っているとの報道に接して、私たちは激しい怒りに震えました。

 宮城さんは、自身の活動のフィールドであるヤンバルの森(世界自然遺産登録の価値をもつ生物多様性豊かな亜熱帯森林)を心から愛し、人間による環境破壊を憂い、森の生き物たちを守る活動を続けてきました。近年は返還された北部訓練場跡地の森を調査し、米軍の廃棄物を次々と発見しています。

宮城さんがこれまでに見つけた二千発以上の弾薬や照明弾の残骸、放射性物質を含んだ電子機器、廃土嚢やコンクリ塊、野戦食のパッケージゴミ等々、米軍が半世紀以上もの長きにわたりこの地で行った訓練で残した廃棄物の数々は、本来なら基地返還前に除去して原状復帰しなければならかったものです。にもかかわらず米軍はその責任を放棄し、日本政府もまた「北部訓練場の過半の返還」をうたいながら、おざなりの「環境調査」と「支障除去」でお茶を濁し、宮城さんが次々と発見しその存在を訴えてきた米軍廃棄物の問題にまともに向きあおうとせず、頰被りを続けてきました。

そしてこの間も、ヤンバルの森の生き物たちの繁殖期であるにもかかわらず米軍は大規模なジャングル戦闘訓練を行い、環境破壊を続けていました。北部訓練場内の森林で、米軍廃棄物は現在進行形で増加し続けているであろうことは想像に難くありません。

 報道によると、このたびの家宅捜索は、宮城さんが森の中で発見した廃棄物を米軍に引き取らせるべく北部訓練場メインゲート前に置いたという二か月前の出来事が、通行を妨害した「威力業務妨害容疑」であるとのことです。まったくおかしな話です。今回の強制捜査は、国会で審議中の「重要土地調査規制法案」が成立すればどのような社会になるかを先取りして示すものでもあり、基地からの被害を受ける人々が逆に監視や規制・弾圧の対象とされてしまう同法案は即刻に廃案されるべきです。

 米軍や沖縄防衛局は、本来なら自分たちが行わなければいけない廃棄物の回収をしてくれた宮城さんに感謝を捧げ、「今後は自分たちが責任を持って環境浄化に努めます」と誓うのが筋というものではないでしょうか。そして、捜索すべきは、宮城さんの家ではなく、返還された基地跡であり、北部訓練場の森の中にいまも遺っている米軍の廃棄物です。

 私たちは沖縄県警に対して、宮城秋乃さんに対する取り調べをただちに取りやめるよう求めます。また、押収された宮城さんの私物を即刻返却するよう求めます。

 私たちは在沖米軍および沖縄防衛局に対して、宮城秋乃さんを不当に被疑者扱いしたことを謝罪するよう、そして、これまで宮城さんが孤軍奮闘してきた米軍廃棄物回収作業の功績に深く感謝し、返還跡地を含めた北部訓練場の米軍廃棄物の回収と環境浄化作業に早急に取り組むよう求めます。

 世界自然遺産登録の勧告を受けたヤンバルの森の生態系を未来永劫伝えていくために、繁殖期中の軍事演習は陸でも空でも一切行わないよう、さらには、北部訓練場の全面返還を、米軍および日米両政府に求めます。

 

声なき森の生き物たちのかわりに行動する宮城秋乃さんに敬意を表して

2021年6月10日

NPO法人:奥間川流域保護基金、沖縄環境ネットワーク、沖縄平和市民連絡会、ジュゴン保護キャンペーンセンター(SDCC) 

 

 

 

2021年6月11日リンクURL