平和への想い新たに~73年目の慰霊の日

沖縄戦の組織的戦闘が終わった日とされる6月23日は沖縄「慰霊の日」、今年73年目を迎えた。

数ある慰霊碑のなかで、唯一沖縄の人たちを祀った「魂魄の塔」。肉親がどこで亡くなったのかわからず遺骨が戻らなかった遺族が、ここへ参りに来る。慰霊碑の周りは午前中だけでお供え物、花、千羽づるなどでいっぱいになっていた。

杖を突いてやってきた白髪の年配の男性は、頭を垂れ手を合わせ、ずい分長い時間祈り続けていた。誰に何を語りかけていたのだろうか。

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 県主催の沖縄「慰霊の日」全戦没者追悼式が23日摩文仁の平和祈念公園で行われるなか、市民グループは魂魄の塔前で恒例の「国際反戦集会」を行った。

主宰者あいさつの後、まず海勢頭豊さんの歌「月桃の花」で集会がスタート。

オスプレイパッドの引き渡し後もまだ様々な工事が進められている北部訓練場。激化する訓練に墜落の恐怖におびえる高江集落、現地からの報告は生々しい。平和への想いを託して、フラダンスが踊られた。

VFP(平和を求める退役軍人会)沖縄支部を代表してダグラス・ラミスさん。「米兵の中にも、戦争を経験することで、これはおかしいと、武力で平和を築くことに疑問を持つ兵士はいる。その生きた証拠が私です。金網の中にも希望はある。あきらめずに彼らに呼びかけていくことも大切です」と訴えた。

韓国から基地撤去運動の報告。「米北首脳会談で、朝鮮半島に東アジアに、平和が訪れようとしている。この世界中が期待を寄せる中、唯一日本の安倍政権だけが直前まで会談に反対してきた。

会談が成功してもなお ”北朝鮮は信頼できない”とマスコミも含めてまだ緊張を煽っている。未来は決まっていない。でも未来をよりよくするために必要なのは相手を疑い敵対するのではなく、信頼して寄り添うことで」と。「韓国は北朝鮮を脅威とは思っていない」とも。

家族7人で平和をテーマにミュージカルを演じる「天然木」。姉妹二人で「憲法9条の歌」を披露した。

沖縄キリスト教学院大学の若者たちが「茶色の朝」に触発されて「あなたの心は誰のもの」という演劇を創り上げた。若い人たちの平和に対する思いと感性が光る。

 

辺野古の海で、海保の弾圧に屈せず小さなカヌーで工事へ抗議・抵抗を続ける辺野古ブルーの皆さん。25日の海上座り込みへの参加を呼び掛けた。

今年の「国際反戦集会」は、多くの若い人たちの姿がうれしい。

「普天間ゲート前でゴスペルを歌う会」の皆さん。2012年のオスプレイ配備以後、毎週月曜日の夕方野嵩ゲート前で賛美歌を歌うことで、基地に働く米兵に平和を訴え続けている。辺野古ゲート前でも月に一回ゴスペルを歌う会を行っている。

トリを務めたのは きむ きがんさん。チマチョゴリ姿で「人間を返せ」など平和を求める歌を披露した。

閉会のあいさつは、5月23日に辺野古で、機動隊に押され、ろっ骨4本と左鎖骨を骨折した高里鈴代さん(平和市民連絡会共同代表)が、2か月ぶりに元気な姿で登壇。もう少しで辺野古へも行けるようになると報告。

市民グループは、正午前から行われた県主催の全戦没者追悼式に参加する安倍総理はじめ安倍政権の閣僚らに対する抗議行動も行われた。

2018年6月24日リンクURL