安和桟橋使用 市民団体が違法性を指摘 ~ 毅然とした態度で臨むよう県に申し入れ

 

                             <12月4日 琉球新報>

<要請文 全文>

「防衛局による民間桟橋を使った辺野古への土砂搬送を許さないための申入れ」

                              沖縄平和市民連絡会

日々、辺野古新基地建設事業を阻止するために全力をあげられていることに敬意を表します。

防衛大臣は、本日、12月14日から辺野古側での埋立開始(土砂投入)を行なうと言明しました。埋立土砂は全て海上搬送されますが、本部港(塩川地区)が台風により損傷したため、本部町は新たな岸壁使用許可申請を受理していません。そのため防衛局は、12月3日、名護市安和の琉球セメントの桟橋を使って辺野古への海上搬送の作業に入りました。

しかし、琉球セメントの桟橋からの辺野古への埋立土砂積出しには多くの問題があり、認めることはできません。

事態は急を要しています。県としても毅然とした対応をとっていただくよう、次のとおり申入れます。

1.この琉球セメントの桟橋から辺野古への埋立土砂積出しを行なうのかどうか、県から防衛局に確認されたでしょうか。

2.埋立承認願書に添付された「埋立に用いる土砂等の採取場所及び採取量を記載した図書」(以下、「土砂に関する図書」)の図4.2「埋立土砂等の採取場所及び搬入経路図」では、本部地区のすぐ横から辺野古への搬入経路が図示されています。この搬入経路図では、本部港(塩川地区)からの搬送は行えても、ずっと東側の琉球セメントの桟橋からの搬送を予定したものとは言えません。

この「土砂に関する図書」を変更する場合は、埋立承認の際の留意事項に基づき、知事の承認が必要です。知事の承認を得ないまま、琉球セメントの桟橋を使用しないよう防衛局を指導してください。

3.この琉球セメントの桟橋は、沖縄県国土交通省所管公有財産管理規則に基づき、琉球セメント(株)が沖縄県に「工作物新築等及び公共用財産使用を申請し、県が許可をしたものです。海という万人に開かれた公有財産を特定の企業の排他的な使用を認めたものですから、この許可手続は極めて厳正に行なわれるべきであることはいうまでもありません。

琉球セメント(株)の桟橋設置の目的は、すぐ近くにある琉球セメント屋部工場の「セメント出荷用」、「セメント製造に使用する●●」、「セメント副原料の●●」、「その他資材の出荷」等とされています(●●は情報公開請求に対し、県が黒塗りした部分)。琉球セメント(株)は、この桟橋をこれらの目的以外に使うことはできません。

この桟橋の公共用財産使用許可の許可条件の第1項は、「許可を受けた者は、許可にかかる物件を申請内容の用に供するものとし、それ以外の用に供してはならない」とされています。そして第5項では、「許可を受けた者が許可条件に違反したとき」は、「(県は)この許可を取消し、その効力を停止し、—原状回復若しくはその公共用財産からの退去を命じることができる」とされています。

今回、予定されているような辺野古埋立のための土砂積込みのためにこの桟橋を使用することは、明かに目的外使用であり、許されません。今回のことで琉球セメント(株)を厳しく指導してください。

また同時に、防衛局に対して、この桟橋を使用しないよう早急に指導して下さい。

4.公共用財産管理規則第11条では、工事が完了した際には、知事に完了届を提出しなければなりません。しかし、12月3日現在、この完了届は知事に提出されていないにもかかわらず、この桟橋にガット船が接岸され、土砂の積出しが始まっています。明かに公共用財産管理規則に違反しており、知事は、至急、使用を停止するよう指示してください。

5.今回、辺野古側の埋立のために搬送される土砂の量は129万立法メートルにもなります。この桟橋は、セメント製造、出荷のために許可を受けたものですが、これだけ大量の土砂の積込みに構造上耐えるのかという問題があります。沖縄県国土交通省所管公有財産管理規則第21条では、県は工作物に立入検査できると定められています。

県として早急に桟橋に立入検査に入り、土砂積込みの詳細等の報告を受け、桟橋の構造上、問題がないかどうかを調べてください。

6.公共用財産管理規則第12条では、「許可を受けた者は、当該許可により生じた権利を他人に転貸してはならない。」と、「転貸の禁止」が明記されており、防衛局の受注業者や下請業者が使用することは許されません。この面からも早急に、琉球セメントを指導してください。

7.さらに、桟橋の基部の敷地には、大量の土砂が積上げられています。大気汚染防止法に基づき知事に出された一般粉塵発生施設の届出では、50m×85m=4,250㎡もの土砂を積上げるとのことです。

しかし、この届出では、「石材の堆積」とされているにもかかわらず、実際に積まれているのは土砂です。石材と土砂では飛散の状況も異なることから、石材という届出で土砂を堆積することはゆるされません。

さらにベルトコンベアについては、生活環境保全条例の届出が出されていますが、これも「石炭、石材の搬送」とされています。土砂を搬送することは届出内容の変更にあたります。

このように環境保全の法令からも問題が多く、このまま使用させることは認められません。

8.またこの土砂の堆積については、赤土等流出防止条例の手続が行なわれていません。これは罰則規定もある重大な犯罪行為です。知事は同条例に基づき、ただちに中止命令を出してください。

9.琉球セメントの桟橋基部の敷地を国道の間に、鋭い有刺鉄線が設置されました。この有刺鉄線は子どもたちが触れるとケガをする危険なものです。さらに、明かに国道の歩道部分にはみ出しています。

県は国道の管理者として、早急にこの有刺鉄線を撤去するよう琉球セメントを指導してください。

10.埋立用土砂を海上搬送しても、原状では大浦湾のK9護岸を桟橋として陸揚げする他ありません。県は本年8月31日の埋立承認「撤回」に際して、防衛局が石材を海上搬送し、K9護岸から陸揚げしたことを、環境保全図書、設計概要説明書の一方的な変更だとして、「撤回」の理由の一つとされました。

また、辺野古側からの埋立開始についても、環境保全措置の変更承認が必要だということも、「撤回」の理由にあげています。

今回もこうした変更承認を得ないまま、防衛局は、さらに悪質な埋立開始に入ろうとしているのですから、県は、あらゆる方策を講じて埋立強行を阻止してください。

以上

 

縄県は昨日(3日)の段階で現地に職員を派遣し現場を確認したうえで、市民団体の要請にもあるような、桟橋使用の事務手続き上の不備を指摘し、沖縄防衛局に搬出作業を中止するよう行政指導を行った。

今朝(4日)になって沖縄防衛局は、手続きに不備があったことを認め、手続きが完了するまで、作業は一時中止すると伝えてきたという。

2018年12月4日リンクURL