「 選挙権をおろそかにすることは、自分をおろそかにすること」 ~ もろさわようこさん小学生に語る

 先日は「若者の多くが自民党支持」と嘆いたが、身近でも姪っ子(30代)が「政治家のお世話にはなっていないから、投票には行かない(これまで一度も行ったことがない)」と言っていると聞いて、暗澹たる思いになった。一応、「投票は、政治家のためにするのではない。自分のためにするもの」とは言った(メールで)ものの、彼女が投票に行く気配はない。大人の先輩としての「伝えることが出来ていない」責任を感じざるを得ない。

 そんな折、女性史研究家のもろさわようこさん(96歳)が、小学生向きの学習雑誌「小学8年生」に、女性がはじめて選挙権を行使した時の経験を語り、投票することの大切さを、子どもたちに伝えている記事に出会った。

(前略)『社会には、貧富の差、社会的地位、学歴などのさまざまな差別がありますが、選挙のときは総理大臣も、私たちも一票です。地位があるから、学歴があるからといって二票使うことはできず、みんな同じ一票しか使えません。選挙権は平等で、よりよい政治をつくるために欠かすことのできない貴重な権利です。選挙権をおろそかにすることは、自分をおろそかにすることだと思います。

 女性参政権に力をつくした市川房枝さんは「平和なくして平等なし、平等なくして平和なし」とおっしゃっていました。また、「男たちが立派な理由を並べて戦争を肯定しても、女はそれにまどわされまい、どんな理由があろうとも戦争はいやだ、その思いをよりどころに、一票の権利を生かして使おう」とも。そんな先生が亡くなったときの取材で、「どなたが市川房枝さんの遺志をつぐのですか?」と聞かれて、私は「日本中の女性です!」と答えました。

 私は戦争が終わったとき、再び同じあやまちをしないためには、いちばんつらい立場や、めぐまれない立場にいる人たちの場に立ってものを考え、行えば、大きなまちがいはないだろう、そう考え、歩み出しました。以来、平和のために一票を入れています。

 一国の政治が、人びとの選挙ではなく、指導者だけの意向で決まっていくなんていうことを二度とさせないためにも、民主主義を大切につくっていくのが選挙です。ぜひ候補者を調べて、大切に選挙権を使ってほしいと思います。(抜粋)

(全文は小学館のデジタル版「HugKum」で読むことが出来ます)HugKumの記事はこちらから「https://hugkum.sho.jp/295158

もろさわようこ:1925年、長野県生まれ。婦人活動家・政治家として有名な市川房枝の元で機関紙編集に携わり。女性史研究家に。96歳になる現在も、執筆活動を続けている。
12月に『新編 おんなの戦後史』がちくま文庫より刊行予定。>

※ 学習雑誌『小学8年生』10・11月号初出。

2021年10月29日リンクURL