宮城秋乃さん(チョウ類研究者)強制捜査① ~ 権力にもの言う者に対する見せしめ

 「県警、宮城さん家宅捜索」、去る6月7日の琉球新報の記事に、一瞬身体が硬直した。
 報道によると、宮城秋乃さん(チョウ類研究者)は、4月7日、米軍北部訓練場メインゲートのイエローラインの内側に、米軍廃棄物を並べて、引き取るよう求め抗議した行為が、威力業務妨害に問われ、家宅捜査を受けたという。

 おりしも「重要土地規制法案」が国会で強行採決される直前で、「辺野古ゲート前などの抗議行動も対象にすべきだ」と主張した自民党杉田水脈衆議員議員の国会での発言が頭に浮かび、この法律の行きつく先を暗示しているようで、背筋が冷たくなった。

 宮城さんに現場を案内してもらい、お話を伺ってきた。その模様を4回にわたって紹介する。

<見せしめの家宅捜索>
 その朝、「県警警備一課(警視庁でいえば公安に当たる)の警察官ら10人ほどがやってきて、威力業務妨害の容疑で家宅捜索するという。とうとう来たか!と思って、一応、“ゲート前で並べた米軍廃棄物と室内にあるものとは、何ら関係ない”と主張した上で、家宅捜索を受け入れた。

 捜査令状を元に、携帯電話やパソコン、メモリーカード、ビデオカメラなどを押収、書籍類を撮影した。しかし、庭に複数のゴミ袋に入れて置いてあった米軍廃棄物には見向きもしない。自ら“あそこに証拠品の米軍廃棄物があります”と言ったが、袋を開けようともせず、押収もせず、中味の見えない袋の上から撮影しただけだった。捜査令状の押収リストの中にも、一番の証拠品であるはずの米軍廃棄物は入っていなかった。その瞬間“目的は威力業務妨害ではないな”と感じた」という。

(写真➁)

 宮城さんが米軍廃棄物をゲートに置くなどの抗議行動を行ったのは、強制捜査の対象となった4月7日が初めてではない。ゴミを捨てた当事者である米軍に直接返そうと、軍車両の前に立ちはだかったり、基地のゲートにゴミ袋を置いたりする抗議はこれまで何度もしてきた。

 特に昨年の12月、放射性物質コバルト60が含まれている電子部品を置いたときは、約7時間にわたってメインゲートを封鎖させた。「威力業務妨害というなら、こっちの方が米軍の被害は大きい。捜査の対象になった日はすぐに警察が来て排除されたので、1時間(写真③)

半ほどしか車を止めていない。なのに、なぜこの日なのか、たぶん放射性物質が北部訓練場跡地からでたということを知られたくなかったのでしょう。県警は、どこかから“あいつを何とかしろ!”と言われて、何とかしに来た、という感じだった。見せしめですね」


 権力に物言う者はこうなる、という見せしめである。宮城さんは家宅捜索から連続4日間にわたって取り調べを受けた。威力業務妨害にしても道交法違反にしても「これまでの法律では、こじつけにこじつけて私を押さえつけてきたが、初めから権力に利することが前提の重要土地法では、こじつけるまでもなく、権力のやりたい放題になる」。本当に恐ろしいことだ。

(※写真➁③提供:宮城秋乃さん)

2021年10月10日リンクURL