辺野古新基地建設は 立地条件そのものが根底から崩壊した③~高さ制限を無視

<空港周辺に高さ制限>

活断層、軟弱地盤に加えて、今度は空港周辺における建造物の高さ制限の問題が浮上した。

米国防総省の飛行場設置基準によると、滑走路の周囲2286㍍以内で、標高55㍍を超える地形や建造物があるところに空港を作ってはならないことになっている。が、辺野古の高台にある国立沖縄工業高等専門学校(高専)の校舎は70㍍もあり、この高さ制限に引っかかることが明らかになった。

皮肉にも高専は、もともと名護の市街地にできる予定のものが、普天間基地の辺野古移設の見返りとして、国が画策して辺野古へ引っ張ってきたものだった。

           <国立沖縄工業高等専門学校>

 

<辺野古のコンビニ敷地内のポストに示されている海抜表示。空港周辺の高さ制限(55㍍)を超えている>

問題が表面化した後、あろうことか国は、「米軍と協議の結果、高専の建物は特例を認める。移転や取り壊しはしなくて良い」と発表した。危険だから高さ制限があるのではないのか!そのままでいいとは、危険を放置するということに他ならない。

しかも高専だけではなく、久志の小中学校はじめ郵便局、民家、はては沖縄防衛局の北部支所である名護防衛事務所、キャンプ・シュワブの辺野古弾薬庫までが制限に抵触することが次々判明した。

       <辺野古弾薬庫の入り口 キャンプ・シュワブ第二ゲート>

国立高専には550名の学生が寮生活をしながら学び、久志小中高には230名の子どもたちが通う。周辺の集落にどれだけの人間が暮らしていると思っているのか。国策でこれらの命を危険にさらすことは絶対に許されない。

姑息にも沖縄防衛局は、2015年に沖縄電力に対し、基準を超える送電鉄塔13基の撤去・移転について協力を求め、経費国負担で合意していた。つまり、3年以上も前から高さ制限の問題が存在することを知っていながら、県民には隠していたことになる。

<第二辺野古バス停近くにある沖縄電力の変電所と送電鉄塔の一つ>

ことほど左様に、辺野古の新基地建設は、いくつもの不都合な真実を隠し、ごまかし、不法を重ねて工事を強行している。それらの不都合な真実が明らかにされ、立地条件そのものが根底から崩壊した。本来辺野古は、空港を造ることができない場所なのだ。もはや白紙撤回しかない。

2018年6月20日リンクURL

辺野古新基地建設は 立地条件そのものが根底から崩壊した② ~マヨネーズ状の超軟弱地盤

<N値ゼロのマヨネーズ地盤>
 活断層だけではない。大浦湾の海底地盤は極めて軟弱であることが、同時に明らかになった。N値とは、その数値が高いほど固いことを示す。それが「ゼロ」とは、もう説明の必要もない。杭一本さえ打てない軟弱な地盤だということだ。

 大浦湾は、深いところで水深35メートルに達する。海底は泥状の堆積物でできており、そこに既定値の重りを置くと、ずぶずぶと40メートルも沈み込んでしまう状態だという。それを市民グループで土木技術者として活動する北上田毅さんは「豆腐地盤」と称した。すると、地質学の専門家は「いや、豆腐どころではない。マヨネーズ地盤だ」と表現し直したというのである。

 <「辺野古新基地建設はいづれ頓挫する」と言い続ける北上田さん>

マヨネーズ地盤の上に空港が作れるのか ?

北上田さんは言う大浦湾の埋め立ては、一基当たり長さ52㍍、幅22㍍、高さ24㍍、総重量7400㌧の、ケーソンと呼ばれるコンクリートの函をいくつも作り、その中に土砂を入れて海に沈めていく工法がとられることになっている。しかし、N値ゼロにこの工法は使えない。

技術的には、軟弱地盤を改良する方法が他にないわけではない。が、そのためには膨大な時間と費用が掛かる。その前に、改めて沖縄県に工法変更の許可申請をし直す必要がある。もちろん新基地に反対する翁長知事が認めるわけがない。活断層、超軟弱地盤、高さ制限の問題、辺野古新基地建設は、もはやその立地条件そのものが根底から崩壊した」と。

<三人の専門家を招いて行われた市民グループ主催の活断層、軟弱地盤の勉強会から>

当初、辺野古新基地の建設費は3500億円と言われてきた。しかし、これまでわずか数%に過ぎない工事で、すでに3600億円が使われたという。このあと一体どれくらいかかるのか。もちろんすべて日本国民の税金である。国民の暮らしを置き去りにして、米軍基地に、私たちが収めた血税が湯水のように使われている。

2018年6月19日リンクURL

辺野古新基地建設は 立地条件そのものが根底から崩壊した ①~大浦湾に活断層

辺野古で進む護岸工事、違法、ごまかし、隠蔽、約束違反の数々を重ねて強引に工事を進める安倍政権だが、今年になって国が隠していた不都合の真実が、次々と表面化している。

<辺野古・大浦湾に活断層>

活断層とは、「数十万年前以降に繰り返し活動し、将来も活動すると考えられる断層」、つまり一定の期間をおいて、繰り返し地震を起こす活きた断層のことである。活断層が発動すると、震源が地表に近いことから大きな地震動が発生し、大災害をもたらす。近年では、2014年の長野県北部地震、2016年熊本地震などがその典型的な例(日本活断層学会資料)とされる。

そんな活断層が、辺野古の新基地予定地を挟むように2本もあることが明らかにされた。それは、疑いを持って調査を進めていた市民らの情報公開請求によって表に出て来たものだが、開示された地質調査報告書(2014年作成)は、二つの断層が交差する部分が黒塗りとなっていた。その理由を沖縄防衛局は「調査が未完了の箇所で、再調査の可否を検討しているため」としている。

 <赤線が活断層、埋め立て予定地のど真ん中を通り、二つの活断層が交差する>

辺野古断層が活動するとどんなことが起こるのか?辺野古新基地のエリアには弾薬庫がある。米軍施政権下で核があった(現在も隠されているかもしれない)とされる辺野古弾薬庫だ。もし活断層が動けば、海を埋め立てて造られた滑走路が液状化を起こし崩壊するだけでなく、連動して弾薬庫が大爆発を起こす。一瞬にして沖縄本島自体が沈没するかもしれないのだ。米国の法律では、活断層の近くに建造物を造ることは禁じられているという。

この活断層については、国土地理院の古い資料にも明記されていた。しかし、防衛局が現在の工事進める根拠としている岩礁破砕許可の申請を、仲井間前県知事に提出した国土地理院の地質調査の資料からは活断層が消えてなくなっていたという。沖縄防衛局は辺野古の辺野古の活断層の存在を隠して、仲井間前知事から許可を受けたことになり、安倍政権で今流行りの公文書改ざんが、ここでも行われていたことになる。。

しかし、問題発覚後政府はすかさず「辺野古海域に活断層はない」と閣議決定し、活断層の存在を否定した。閣議決定すれば、数十万年も前から存在していた活断層が消えるとでもいうのか?ならば、地震天国の日本、閣議決定で日本中の活断層をすべてなくしてほしいものだ。

2018年6月19日リンクURL