<35度を越す灼熱の太陽の元で行われた県民大会>
県民大会は古謝美佐子さんが歌う「童神(わらびがみ」で始まりました。子を想う親心を詠うこの歌が、被害者への思いと重なって参加者の胸に浸みわたり、続いて行われた一分間の黙祷のなか、こらえきれず涙を流す人も少なくありませんでした。
<童神を歌う古謝美佐子さん>
そして、最愛の娘を奪われた遺族のメッセージが読み上げられ、深い悲しみと怒りが会場を包みました。そこには大会決議の「海兵隊の撤退」をさらに超えて、「すべての基地の撤退」が織り込まれていました。
<遺族からのメッセージ全文>
ご来場の皆さまへ。米軍人・軍属による事件事故が多い中、私の娘も被害者の一人となりました。なぜ娘なのか。なぜ殺されなければならなかったのか。
今まで被害に遭った遺族の思いも同じだと思います。被害者の無念は、計り知れない悲しみ、苦しみ、怒りとなっていくのです。
それでも遺族は、安らかに成仏してくれることだけを願っているのです。次の被害者を出さないためにも全基地撤去。辺野古新基地建設に反対。県民が一つになれば可能だと思っています。県民、名護市民として強く願っています。ご来場の皆さまには、心より感謝申し上げます。
平成28年6月19日、娘の父より
たくさんの花束が供えられた遺体遺棄現場。被害者の父親は、ここで娘の魂に呼び掛けた。「お父さんだよ。一緒に帰ろうね」と。沖縄では亡くなった場所で魂を拾う「ヌジファ」という儀式を行う慣習がある。
<あいさつを述べる翁長知事>
県議会超党派の県民大会とはなりませんでしたが「出席することが県民の意に沿うこと」として参加を決断した翁長知事。県民を代表する為政者として、被害者の命と尊厳を守れなかったことを詫びるとともに、改めて「辺野古新基地建設を許さない」決意と、「地位協定の抜本的改定」などに取り組むことを誓いました。
そして挨拶の締めくくりに、沖縄の言葉で「皆さん!負けてはなりません。我がうちなーんちゅの子や孫を守るために頑張りましょうね」と力強く呼びかけ、会場の6万5千人が万雷の拍手と指笛で応えました。
大会の主催者・オール沖縄会議の4人の共同代表もそれぞれに挨拶に立ち、その一人・被害者と同世代で大学生の玉城愛さんは「安倍晋三さん、本土に住むみなさん、第二の加害者はあなたたちです!沖縄とちゃんと向き合って下い」と、沖縄の民意など一顧だにしない政権と、無関心な国民に対して、痛烈な批判を投げかけました。
「私も米兵によるレイプ被害者です」 と訴える女性も…。
翁長知事をはじめ共同代表など、壇上に上がった人たちの胸には、ハワイ沖縄県人会の人たちから送られた手づくりの「追悼のレイ(木の実でできている)」がかけられました。故郷を遠く離れた沖縄の人たちも怒りと悲しみを共有しています。
メッセージボードに込められた、人口わずか1%に過ぎない沖縄県民の思いは、99%の日本国民に届くのでしょうか?それともこれからも無視され続けるのでしょうか?