哀しみのF1

今年のお正月、
故郷(離島)に里帰りした私を
「お帰り」とばかりに迎えてくれたのは
庭の一角に青々と勢いよくツルを伸ばしたカボチャでした。
葉っぱも大きく、黄色い花もいっぱいつけています。

 

カボチャが芽を出した当たりは、いつも台所から出る生ゴミを埋めている場所で

家族が食べたカボチャの種が混じっていたものと思われます。

生ゴミが肥料となって、カボチャも元気がいいのでしょう!

 

食いしん坊の私は、みごとな葉っぱの色つやに、思わず「美味しそう!」と
声を上げてしまいました

でも「なかなか実がつかないのよね」と実家の妹はいいます。

 

それから3ヶ月後、次に里帰りしたときも

カボチャは、まるで昇り龍の如く、近くのフクギの木に巻き付いて

空に向かって駆け上がる勢いで伸びていました。

黄色い花もいっぱい!

「でも、雄花ばかりで、やっぱり実がつかないの」と、妹。

 

そのとき、私はハタ!と気がつきました。

「F1種だ!」

 

いま私たちが食べている野菜や果物は、そのほとんどが一代限り、

その実や種から芽を出して生長はしても、結実しないいわゆるF1種なのです。

 

それは農家や家庭菜園が、毎年新たに種や苗を買わなければならないようにするため

種苗メーカーが遺伝子操作して、一代限りの作物にしてしまったのです。

 

実をつけることの出来ない、子孫を残すことが出来ないF1カボチャ

もう何年も、辛い不妊治療で苦しんでいる友人の娘さんの姿と、F1カボチャがオーバーラップして

胸が苦しくなってしまいました。

 

いかに植物とはいえ、こんなこと(生命の操作)をするなんて!

人間って、なんと傲慢なんでしょう!

 

でも、数少ない原種を見つけ出し、自家採種して、

本来の作物を守り育てようとするNGOなどの活動もあって

F1種も原種との掛け合わせや自然交配などで先祖返りして、

また実をつける場合もあることが、わかったそうです。

 

F1種を作り出した種苗メジャーの大元はアメリカにありますが

そうした自然交配の作物も、自分たちの特許権の範疇だと主張し、

世界中で裁判を起こしているとか。

どこまでどん欲なのでしょうか!!!

 

ブログをはじめる前だったので、残念ながらF1カボチャの証拠写真は写していないのですが、

我が家の庭のゴーヤーです。

このゴーヤーもF1種ですが、だからなお愛おしく感じます。

 

2011年11月10日リンクURL