あれから3年~あの日私は (Ⅱ)

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帰宅難民であふれたホテルのロビー。
大勢の人がいるのに、誰も話す人はなく、静まり返っていた。
目をつぶったが、眠れるはずもない。

身の安全を確信してホッとしたからか
今度は、昼間テレビで見た、津波に襲われる町の様子が浮かんできて
一層目が冴えてくる。

想像を絶する光景だった。表現する言葉もない。

津波に流されていたあの家の中に、人はいなかっただろうか?
車で逃げていた人たちは、逃げ切ることができたのだろうか?
山形と岩手に住む友人は無事だろうか?

私が東京に来ていることで、家族や友人が心配しているだろうなぁ。

さまざまな思いが頭の中を駆け巡ったが
不思議なことに恐怖心はほとんどなかった。

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感心したのは、このホテルの対応だった。
場所だけでなく、毛布やシーツ、バスタオルなど、ありったけの布類を提供し、気分がすぐれない人のために、水や薬なども手配、 3人のスタッフが徹夜で対応にあたっていた。

夜中も3時くらいになると、家族などが迎えに来て、 ロビーも少しずつ人が減ってきた。

私の隣の人も、 息子さんらしい人が迎えに来て、寒さ除けにかぶっていたものを全面的に私に譲って、帰っていった。

明け方近く、地下鉄の一部が動き出し、ホテルのスタッフが、新橋までの乗継ぎかたを丁寧に教えてくれた。

池袋から新橋まで、いつもの倍以上の時間をかけて、宿泊予定のホテルにたどり着き、ベッドに倒れこんだのは、朝も6時を過ぎていた。

 

 

 

 

 

2014年3月14日リンクURL