沖縄にはお正月が2回(新正と旧正)あると旧正月の項で書きましたが
実は4回あります。
3つ目はクリスマスです。
敗戦後米軍統治下にあった沖縄ではクリスマス関連行事が
盛んに行われました。
それを沖縄の人たちは「アメリカ正月」と呼んだのです。
そして4つ目が「グソー(後生)」の正月です。
つまり、あの世のお正月です。
それは旧歴の1月16日におこなわれることから
十六日祭(うちなーぐちではジュゥルクニチー)と呼ばれます。
沖縄の人たちはご先祖様をとても大切な存在として
年間いくつもの先祖供養行事を行います。
十六日祭は、あの世のご先祖様にもお正月を迎えさせておげようという
現世の人々の優しい心があり、お正月には里帰りしなくても
この十六日祭には必ず里帰りするというほど重要な行事です。
今年の十六日祭は2月25日。
私も24日・25日と、故郷・渡嘉敷島に行って来ました。
ご先祖様のお墓の前で一族が集まり、ご馳走を広げて
ご先祖様とともにお正月を祝います。
我が家では、2カ所のお墓にお参りします。
まずは午前中に一族の始祖のお墓へお参り。
ここはうる墓と呼ばれ、うるとはサンゴ礁のことで
直径1・5メートルほどのテーブルサンゴが一枚あるだけの 質素なお墓です。
それもアコウの木の根っこがテーブルサンゴを抱き込んで 半分しか見えない。
この下にご先祖様の遺骨があるかもしれないとのことですが 確認されていません。
我が家は曾祖父の2代前に分家して、父は5代目でした。
午後からは、私が直接知っているご先祖・祖母や父が眠っている 催合墓(血族ではないいくつかの家族が合同で作ったお墓)にお参りしました。
墓前にお供えされたご馳走は精進料理ではありません。 お肉も魚もあります。
ビンシー呼ばれる携帯用のお祈りセットは誰が考え出したの!と感心するほど便利なものです。ひとつの箱の中に、お米、お酒のとっくり2本、杯、お線香など拝みに必要なものがひとそろいコンパクトに収まっています。 どこの家庭にもたいてい1セットあります。
沖縄線香と紙銭。紙銭は、ウコンで黄色く染めた紙に銭型を打ち込んだもの。燃やすとあの世に送金できると言われています。
祈りの言葉は、
家族の安全と健康、集落の繁栄、そして世界の平和です。
これは今も昔も変わらない沖縄の人々の信条なのです。