ショパンの手紙~崔善愛ピアノコンサート

「”ピアノ詩人”といいわれるショパン。その曲は、なぜあれのほど情熱的で激しく、また切ないのでしょうか。
その背景にあるものは、
祖国を大国に奪われた亡命者の苦しみや怒り、
二度と祖国の家族や友人と会えない悲しみでした。
同じように日本に帰国できなかった経験を持つ
ピアニスト崔善愛が、共感をこめてショパンの生涯をたどります」

そんなチラシのコメントに誘われて、日曜日の午後のひとときを、沖縄キリスト教学院大学のチャペルで行われた、素敵なピアノと朗読のコンサートでぬちぐすいしてきました。

在日韓国人として生まれ育った崔さんは、指紋押捺に反対していたため、アメリカへの留学の際、「再び日本へ帰国できないかもしれない」との覚悟で出国しました。

留学先で手にした「ショパンの手紙」いう一冊。ショパンが、ドイツに占領された母国ポーランドを出てフランスに向かうときの不安、悩み、自分を育てた国への愛着が記された書簡集でした。ショパンの曲に秘められた思いと、自らの境遇に重ね合わせ、心を揺さぶられます。

崔さんは言います。「そのとき、はじめて私の前に、ピアノの詩人としてではなく、自分の国を追われ、苦しみ、悩み、怒る一人の人間としてのショパンの姿が表れた」

朗読の斎藤とも子さんの父親も、「まだ中学生だった戦時中、朝鮮北部から引き上げるときに朝鮮の人たちに命を救われ、無事日本に帰って来られた。そのおかげで自分がいま、ここにいる」と、それぞれに万感の思いを語りました。

そんな二人が、アメリカと日本という大国に翻弄される沖縄に心を寄せたのは必然でした。熱望していた沖縄での演奏会が実現して感無量の二人のコラボが、また聞く人たちの心を揺さぶりました。

 

崔善愛さん

さすがに演奏中はシャッターを切れませんでしたので、情熱的な演奏風景は撮れませんでしたが、演奏が終わって、今回の沖縄でのコンサートにかける思いを、こみ上げてくるもので言葉を詰まらせながら語るお二人。翌日は辺野古ゲート前へもいかれるということでした。

2017年11月28日リンクURL