ケネス・シンザト被告は、裁判官のすべての質問に対し、「黙秘します」と言ったっきり、何も答えなかったという。
しかし、取り調べ段階でのでの被告の供述から、殺害当時の状況が明らかにされ、傍聴席から、親族の叫ぶような嗚咽が聞こえたと、傍聴した人たちの話が伝わってきた。
強姦を目的に女性を物色していたケネス被告。自宅近くでウォーキングをしていた20歳の女性の頭を、鉄と鉛でできた打撃棒(スラッパー)で何度も殴り、首を絞めて引き倒し、草むらに引きずり込み、予め用意していたナイフで首や膝の裏を刺して、死んだことを確認したという。それでも、殺意はなかったと弁護側は主張、人ひとりの行為であり、基地や軍隊の存在とは関係ないとも強調している。
人を殺す術を徹底的に訓練された海兵隊の兵士でなければできない残忍な手口。結婚を前に、娘の晴れ姿を楽しみにしていたであろうご両親にとって、こんなむごい娘の最後の姿を知ることが、どんなにか耐えがたかったことか。想像するだけでも苦しい。